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この着物は「無線友禅」という仕事で描かれた手描きの附下げ(つけさげ)です。
友禅染の一種で、模様の輪郭を描かずに、ズバリ筆に染料をつけて直接 生地に文様を描き、染めていく技法で「濡れ描き」とも言われている着物です。
まさしく職人の技で、紙に絵を描くのとは訳が違います。
丸巻きの白い反物に筆を下ろし、着物柄になるように模様を付けていく、しかも縫い合わせると柄が合うように立体感を出すようにして。
この他にもさまざまな技法が、着物の世界では受け継がれてきていますが、今、職人さんの仕事にかつてない苦難の道が訪れています。
一つには後継者が育たないことで、伝統の技が消えようとしていることがあります。
又、景気低迷の中で職人さんの仕事が少なくなり、アルバイトをしながら生活を繋いでいたり、廃業という道を選択せだる負えないところにまで追い込まれていることを仕入れ先から聞いています。
この現状は私の県の加賀友禅作家さんにも同じような事が起こっていて、こだわりの商品が創れなくなっているようです。
このままでは日本の伝統がなくなるかもしれません。
どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか・・・・・
消費者の立場から見れば、伝統の技を否定しているのではなく、価格を否定する時代になっているのかもしれません。
個々の経済状況と価格のバランスが合わなくなってきているとことがあるのでしょうね・・・・・
そのことに気付き始めたメーカーは、コストを下げようとして機械化や海外で物作りを始めたことで、職人さんの仕事を取り上げてしまったところがあるのではないでしょうか・・・・・
いいものはいい・・・
これはいつの時代でも変わらぬ美学ですが、これが消費に繋がらない経済の悪循環に政治の行き詰まりを感じます。
3日後の日曜日、国政選挙がありますが、経済が健全な活動をしはじめないとこの国は良くならないと考えている一人です。
他力本願で努力を怠っていてはいけませんが、弱者に目を向けて元気が出る社会であって欲しいと願います。
絶対に弱肉強食の経済社会であってはならないのです。