お客様から使わなくなった着物や帯を何かに生かしたいという相談を持ちかけることが多くなっていますが、実用的なものになると仕上がった状態や色合いをイメージしづらくて、コスト面も含め、なかなか踏み出さないのが消費者心理ではないでしょうか?
この点を克服すると新しい市場が生み出され店の発展にも繋がるように考えているものの、ノウハウを確立するまでに届かないのが現状です。
そのような現状を踏まえ、お客様から依頼された丸帯の再生を紹介してみたいと思います。
その丸帯はお客様の祖母が使っていたもので、洋風の玄関先にタペストリーとして使ってみたいとのことで、それ以外のことは全て私に任せたいとのことでした。
そのような場合、お客様は私にプラスアルファ―のものを期待していることがうかがえる訳ですが、センスが問われているかと思うと気の重いものがあります。
幸いにも古布を再生してデパートなどで販売しているお客様が近くにいて、その方に相談を持ち掛け、幾つかのパターンを提案をもらって仕上げることができました。
それがこちらのタペストリーです。
帯地は松に鶴の吉祥模様で、色合いのトーンが少しお地味なことから、帯巾の中央に赤い椿を提げてみることに・・・
お客様の玄関は広さも高さもあったもので、長さを150㎝丈を選択してみました。
そしてお正月などには、このタペストリーを40cm近く床に添わせ、この上に干支飾りや花器などを置けるように、ピン一つでタペストリーの長さを調整できるように仕上げてみました。
つまり、帯地の敷物とタペストリーが一体となることから、タペストリーの裾は棒や飾りを取りつけないで作ってみました。
お客様は仕上がったタペストリーに目を通していただいていないだけに心配が残りますが、ご理解をいただけるものだと思っております。
ちなみに材料費と加工費で10,800円で収めたいと考えています。
皆さんの中で使わなくなった帯があるようでしたら、このような感じに仕上げられるので、気軽に相談をいただけたら嬉しいものがあります。
この件がヒントになった訳でもないと思いますが、仕上がったタペストリーを受け取りに伺うと、物作りの達人が帯地を使った新しい作品を作っておりましてね~
それがこの映像にある「手まり」のタペストリーです。
ベースは紬織の名古屋帯で仕上げたもので、その種明かしはもう少し先になったら判ります。
幅30㎝、丈が85㎝のもので、大小の手まりを作ったものを取り付けたものです。
手まりが浮かび上がって可愛いでしょ・・・
これなら四季を気にすることはいりません。
ピン一つでどこでも提げれるので、使い勝手もいいのではないでしょうか?
そして裏を返すと、名古屋帯のお太鼓の部分が模様となって現れます。
画像を大きくすると、織物の柄であることが判るかと思います。
これと同じ大きさの喪服の帯、つまり黒をベースに櫛(くし)の柄で作られたタペストリーも注文してまいりましたが、仕上がったらこのブログで紹介してみたいと思っています。
このようにして、お蔵入りしている帯を「手まり」や「櫛」を使ってタペストリーに作り替えることができるので、よろしかったら一度ご連絡をください。
お値段は加工費と材料費込みで税込6,480円でお受けさせていただきます。
このことが切っ掛けで、帯をタペストリーとして再生するノウハウの道筋をできたように思っていますが、後は、お客様の感触がどうであるかが問われるところです。
どうか皆さんのご感想をお聞かせください。
さて、本日№197の「あ・うん」9月号ができ上がりました。
いつもながら仕上がりが遅くなってしまったことを反省していますが、明日から集中してお客様のご家庭に届けたいと思っているところです。
今年の12月号で№200となる訳ですが、今日まで続けてこられたことが不思議でなりません。
その月によって出来栄えの冴えないときもありましたが、この店と共に育って行ったことを誇りに思っています。
何でもないことかもしれませんが、仕事と切り離せないものになっているだけに、これからも大切にしていきたいものの一つにしたいです。
それではこれにて・・・
お休みなさい。