加藤懐石さんの牛首紬を吉野間道の帯で合せる・そして浅野栄一氏が染めた江戸小紋の魅力を語る

加藤懐石さんの牛首紬を浅野さんが縞柄江戸小紋に染める

長年に渡り受け継がれてきたの着物文化の伝統ある技を地域のお客様に伝えしいくことは、呉服店の与えられた役割かと考えています。

 

着物を染める、紬を織る、帯を織る、それぞれの分野で匠の技が受け継がれている訳ですが、生活様式の着物への価値観の変化に押されて、伝統ある技を活かした商品の需要が少なくなると、職人さんに入ってくる仕事量は少なくなり、一方で、よく似た商品を大量生産して、リーズナブルな価格帯で販売する方が現われると、その商品を手にする人が現われて、伝統ある技との違いを分からないままにお洒落を楽しむ。

 

そのようなことを繰り返しながらも、伝統ある技を継承する職人さんがいて、その職人さんが作る商品を大切にして伝統を守り抜いているメーカーさんがいる。

 

長く私の店と取引をさせていただいている竺仙さんは、伝統を重んじるメーカーさんの一社だと思っていまして、浴衣では全国の浴衣ファンに古典柄のゆかたを作る会社として知れ渡っていますが、実は江戸小紋にも並々ならぬこだわりを持っていて、この度、竺仙さんが作る江戸小紋を10月の神無月の会で取り上げる運びとなりました。

 

そこで伝統ある技を駆使して染めた「江戸小紋の価値と魅力」をどのようにして江戸小紋に対する知識の乏しいお客様に伝えられるかを毎日考えているところです。

 

真っ先に提案をいただいたのが、縞彫りの型紙を使って染める染師・浅野栄一氏にこの店にお越しいただいて、伝統ある技がどのようなものであるのかを、浅野さんの染の実演を通してご理解を深めていただけるのではないだろうか?

 

その提案を受け入れて、10月14日(金)と15日の(土)の江戸小紋展前半の二日間になりますが、浅野さんの応援をいただくこととなりました、

 

そして浅野さんの好意で、江戸小紋のハンカチを染めるというお楽しみ企画をいただくことになり、その話題をお客様に振るのですが、江戸小紋への知識が乏しいのかお客様の受け取り方が弱いんですね~

 

伝統の技を伝えていくことの難しさを感じますが、呉服店という看板を揚げていながら伝えきれないもどかしさもあって、この先の取り組み方に対して知恵を使っているところです。

 

まずは江戸小紋に付いて情報を出して、手仕事の技がどのようなものなにか知っていただくことが大切かと考えています。

 

そこで今日は加藤懐石さんが織った牛首紬の白生地を。染師浅野さんが故・児玉博さんの伊勢型紙を使って、縞柄の江戸小紋を染めているので、ここに紹介させていただきます。

 

 

 

加藤懐石さんの牛首紬を浅野さんが縞柄江戸小紋に染める
加藤懐石さんの牛首紬を浅野さんが縞柄江戸小紋に染める

 

こちらがその画像になりますが、浅野さんは長さ約18㎝くらいの縞彫りの型紙で縞柄を染めていまして、その型紙に繋ぎ目が分からないようにしてずらし、一反の着物の長さとなる12メートルから13メートの白生地を型紙を送って染めているんですね~

 

なので、縞堀の型紙の縞が細かくなるにつれて精密な技が求められます。

この技が「現代の名工」として国から認められたのが浅野さんで、浅野さん曰く、縞柄を染める時間と型継ぎの修正にかかる時間は同じくらい時間を要するそうです。

 

機械化されて染めた江戸小紋との違いは、機械化されたものは、型継ぐの後も見えなくて、綺麗で冷たい表情をしています。

一方で職人さんの技が入った江戸小紋には、模様から見えてくるジャミジャミ感があって、人肌の暖かさが伝わってくるものがあると、私は捉えています。

 

この違いをお客様にどのようにして伝えられるかですが、いろんな角度から情報が出して、受け取っていただいた方が、疑問に思うことを頭に残していただけることが物事の始まりではないかと考えています。

 

だから私は、江戸小紋展が始まるまで、江戸小紋の情報を出し続けたいと思っております。

 

 

 

牛首紬に染めた縞柄柄江戸小紋を吉野間道の帯でコーディネート
牛首紬に染めた縞柄柄江戸小紋を吉野間道の帯でコーディネート

 

そして先ほどの牛首紬に染めた縞柄の江戸小紋を吉野間道の名古屋帯でコーディネートさせていただきました。

年代層が少し高くなりましたが、着物を知り尽くした女性の着こなしだと思いませんか?

 

味わいがあって、とても素敵な組み合わせです。

 

この画像からもお分かりいただけると思いますが、縞柄の江戸小紋がジャミジャミしているでしょう。

これが手で染めた浅野さんの技なんですね~

 

いろんなことを書いてしまいましたが、伝統の技を使った染めた江戸小紋について、ご理解を深めていただけたなら幸せに思います。

 

ではこれにて・・・
お休みなさい。

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