着物を捨ててください・きもののお手入れで遭遇したお客様からの相談

 

今朝、お客様から着物のお手入れをして欲しいと電話があり、お伺いしてみると和ダンスを全部開いて、ここにある着物を全部丸洗いして欲しいというのです。

 

そのお客様は60歳前後の方で、順番に着物や帯を出して見せてくださいました。

その数、なんと40点近く。

(私の店から買い求め頂いた品は一点もありません)

しつけ糸が付いている着物が3割近くあり、それ着物までも綺麗にして欲しいというのです。

そして、着物としての価値がない物は捨てて欲しいと言うんですね~

 

お客様はハッキリとは言いませんでしたが、いろんなお店で買い物をしていて、ご自身が着物・帯・長じゅばんの合わせ方が解らなくなっていて、引越しをする機会に自分に合った価値のある着物だけを解りやすく整理して欲しいと考えていらっしゃるようでした。

 

大変難しい相談です。

 

シミが付いている着物、たたみシワがひどい着物や帯、見るからに寸法が合っていない着物や道行、何の着物に合わせて買ったのか解らない帯や襦袢など、その都度、お客様に判断を請うのですが、帰ってくる返事はただ一つ 「あんたにまかせる」 の一言。

 

全ての着物や帯などを見終わってからお客様に申し上げました。

 

何処まで着物のお手入れをしていいのか判断しかねます。

お金を掛けても着ないのでは、お金を捨てるようなものです。

何を基準にその選択をしたらいいんでしょうかね~

 

お客様は、

だから、あなたにまかせると言っているんです。

私が必要としないと思うものは捨ててください。

世話を掛けますが、その仕事にかかる費用として、先に内金を支払っておきます。

 

お客様はこの機会に、自分の着物をリセットして解りやすくしておきたいという気持ちが痛いほど伝わってくるもので、全ての着物をお預かりすることにしました。

 

責任の重い仕事を請けることになりました。

職先の方と相談してコストが掛からない方法を選択してみようと思っています。

そして着物の寸法も一つ一つ調べ、着物に合う襦袢や帯をコーディネートして新しい文庫に解りやすく説明書きを添えようと思っています。

 

しかし、処分する着物の判断は難しいな~

仕事をすれば料金が発生しますしね~

 

実はこのお客様、以前にもこのような仕事をさせて頂いたことがあるんです。

その時は、自宅に置いてある もう一本の和ダンスで、娘さんやお孫さんの着物の整理をさせてもらったんです。

(そこには私から買って頂いた着物は数点ありました)

 

それがよても良かったんでしょうかね・・・・・・

 

それにしても、このようなお客様が世の中には随分多くいらっしゃるのかもしれませんね。

 

着物を取り扱う側として、考えさせられる相談でした。

 

記事が長くなりましたが、着物を良く知らない方が、方々で買い物をするとこのような事が起こりがちです。

どうか気を付けて下さいね。

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