店の存在が地域の人達のお役に立てているのを考えたときに、お手にしたい商品を見立てるというのがこれまでの呉服店に在り方でした。
ところが着物を着る機会が少なくなっていることから、着物を着ようと思ったときに何を準備したらいいのか、コーディネートが適切なのか、着物の着付を誰にお願いしたらいいのか、更には着終わった後のお手入れをどうしたらいいのかなど、適切な判断ができない人が年々増えているのが現実です。
地域の呉服店としては、そのような方々にどのようにして寄り添っていけるかが大きな課題となっていて、着物を着終わった後のメンテナンスや、お子さんの着物の縫い上げであったり半衿の取付けだったり寸法直しをお願いされれることがとても増えています。
ここのところをいくらかでもサポートしていかないと着物需要が伸びて行かないと思えますし、このようなも着物初心者の困りごとを受け止めずに着物の魅力を伝えようとしてもきもの愛好家が増えていくとは私には思えません。
そのようなことから、地域の方々が着物を着ようとしたときの困りごとにも対応できる店であることが大切であると思っています。
【半衿取付け講習会の日】
そうした中で本日、和裁士さんのお力をお借りして、半衿の取付け講習会を開催させていただきました。
今回で2回目となるもので、初回に参加いただいたお客様からとても喜んでいただくことができたたことから、新たに参加者の募集を呼び掛けて6人の参加をいただくことができました。
参加者の多くが我流で半衿を取り付けていることから、その基本を学びたいと集まっていただいた、着物の着こなしからいえば中、上級者の方々です。
和裁士は男性の方で、2回目となることから半衿の取付け方を図面のようなものを手書したものをお持ちいただいたのですが、そこに記された単語が業界用語であったり、寸法が「寸」で表示されていたこともありまして、皆さん戸惑うところがあり大騒ぎ。
おそらく半衿の取付けに寸法を測って縫い付けるとは思っていなかったみたいで、皆さん試行錯誤していましたが、そのコツが分かり始めると後はチクチクと針を送っていました。
皆さん熱心で時間を要しましたが、その仕上がりを拝見させていただくと綺麗な取付けができたたのではないかと思います。
こうした半衿の取付け方をYouTubeで見ることができるようですが、目の前で誰かがキチンと伝えて行かないと、取付けができない難民が増えて行くに違いありません。
折しも数日前に振袖の寸法直しを頼まれまして、長襦袢の半衿の取付けもお願いしたいと以前使われた刺繍半衿を差し出されて、その半衿を状態を確認させていただくと、両側にセロテープを使ったような糊の黒墨が残っていまして、そのことをお尋ねすると、両面テープで刺繍半衿を取り付けたとのことでした。
見えない箇所なので差し支えありませんが、お客様からすれば苦肉の策だったのでしょう。
このよう話は日常茶飯事になっています。
数日前に家族で食事をしたときのことです。
娘のご近所の奥さんがお子さんの入学式をお着物で臨まれたときに、衿に重ね衿を入れた着こなしだったそうで、その重ね衿が長襦袢に取り付けてあったことを聞いて驚かされました。
本来重ね衿というものは着物に取り付けるこので長襦袢ではありません。
このような話を聞くと、日本の着物を外国人が着こなしているかのな時代になっていて、この仕事をしている者としては寂しい限りです。
きもの専門店としてはこのままで言い訳がありません。
私たちに出来ることなんて限りがありますが、それでも地域の方々に少しでもお役に立つことができる店でありたいと思っています。
【ピエロ柄の小紋できもの遊び】
こちらのコーディネートは着物がもっと楽しく着られたらと思って、ピエロ柄の小紋をエメラルドグリーンの染帯で組み合わせたものです。
着物を着慣れた着こなしになるのかもしれないが、この装いで花見がされたとしたら、この装いを目にされた方はオシャレな着こなしに心が奪われることでしょう。
このような着こなし方をされる方が増えたら、これまで着物に関心を持っていなかった人が着物に興味を持ち始めるのではないでしょうか。
簡単な解説で終りますが、今日はこれで閉店とさせてください。
ではこれにて・・・
お休みなさい。