着物業界の現状と変化を私の言葉で綴ってみました・キーワードは「受け皿」と「持ち味」

DSC_0002kagayuuzennsomegaku.JPG 今日は着物業界の現状について書いてみることに致します。
私が感じている言葉で書くことでもあり、誤解を招くようなところがあるやもしれません。
その点をお汲み取りいただいて、しばらくお付き合いいただければと思います。
かつて着物業界は2兆円産業とも言われていた時代がありました。
商品を作れば何でも売れる時代で、私たち呉服店もイケイケ・ドンドンという感じで勢い付いていたように思います。
そのような仕組みが狂い始め出したのが、オイルショックでありバブル崩壊でした。
消費が失速し、価格破壊が起き、商品を売るための仕掛け作りへと方向展開をしはじめたのです。

物作りをする一部の会社は、市場のニーズに応えようとし人件費のコストが安い海外で商品を作り始め、それを企画で取り上げる小売店が増え、業界に混乱を巻き起こすこととなりました。
物作りが海外に流出したことで、腕のいい職人さんの仕事が奪われ、個々の専門店さんの個性も次第に失われ、企画という名の素に、小売店さんに顔を出すことがなかった職人さんが展示会場に立つようになり、他店で盛況だった企画があればそれを真似、時には価格でお客様を引きつようとする無理な関係性が際立つようになったのです。
今にして思えば、着物を知らない人が多くいたから通用した販売方法で、着物愛好家に目を向けていたかといえば、疑わしいところがあったのではないでしょうか?
無理な販売方法は、しだいにお客様から「NO」という態度を示されるようになり、着物離れ、呉服店離れが加速しはじめたように感じています。
そして着物市場は急速に小さくなり、その環境に耐えられなくなった商品の作り手や、呉服店が次々と市場から姿を消すこととなり、経営を続けることの難しさや、新たなビジネスの出現と販売方法に迷いの渦へと巻き込まれることとなるのです。
それは、着物の資源をタンスの中に絞り込んだ古着の店や着物レンタルショップの出現です。
お手軽な価格帯が着物初心者に受け入れられたのか、その市場はみるみるうちに全国に広がり、着物専門店さんを脅かす存在まで成長しているのではないでしょうか?
それは新たな市場を掘り起こすきっかけになっています。
古着の世界では新しい着こなし方で若者の心を捉え、観光地では着物レンタルで楽しい時間を過ごす人が増えはじめました。
そんな姿を見て、着物が見直されていると言わざる負えませんが、着物を消費する人口増えていることと、きもの需要が伸びていることとは、違う次元で捉えなくてはなりません。
私はタンスに眠る着物が有効に活用されていると考えていて、新しい商品が作り出されているとは思いにくいところがあります。
それは着物産地の生産量からもうかがえます。
一方で、着物販売方法も進化しはじめていて、ネットからの買い物が増えているのではないでしょうか?
そればかりか、ネットは商品を探す道具としても優れていて、着物愛好家には願ってもない環境が整ったといえます。
店作りを語る上で、ネット対策なしては語れない時代が訪れたのです。
私の店にもネットからご縁が結びついたお客様が沢山いらっしゃいますし、遠い土地から訪れてくださる方も少なくありません。
着物業界の未来を探る意味で、視えてくる問題点が浮かび挙がる訳ですが、バブル期とは全く違う環境に置かれていることだけはハッキリしています。
古着屋さん、レンタルショップ、そして昔からの着物専門店さんの目指すものは皆同じで、着物の振興です。
それぞれの立つ位置で着物振興の取り組み方は違いますが、新しい市場を掘り起こしていかねばなりません。
そのことを考えた時、どこの店も同じであってはならないのです。
差別化が望まれますし、ネットの活用が新しい出会いの入口になるのではないでしょうか?
着物を探す人がいて、その受け皿を整え店の持ち味を発揮する店が存在することで、初めてバランスが取れてた健全な市場が誕生するのではないでしょうか?
そして着物の面白さを伝え、着物ファンを増やす努力が望まれます。
その意味でも、着物市場と真摯に向き合い、「受け皿」と「持ち味」を育てることが急がれます。
まとまりのない文になりましたが、長年着物業界に身を置いて私が感じていることを書かせていただきました。
正しくない表現があるやもしれませんが、批判するものでないことをご理解ください。
最後に母親の納骨を済ませてきたのですが、その間、息子夫婦と共に過ごすことがて素敵な時間をいただくことができました。
そんな機会を与えてくれた母に感謝したいです。
それではこれにて・・・
お休みなさい。