♥ 今月23日(金)から26日(月)までの4日間、神無月の会にて「帯への想い」と題して西陣織・博多織・そして、おしゃれな染帯をさまざまな角度から紹介したいと考え、その準備を進めているところです。
ついては着物や帯など、仕入れ先の協賛をいただいて品揃えを増やすつもりでいますが、テーマが「帯への想い」というからに私のこだわりがその会になくてはなりません。
なので仕入れ先に出向いた折に、心が動く商品に出会うと注文を入れていますが、今日もまた一つ、素敵な帯が染め上がり店に届いたもので紹介してみたいと思います。
着物とコーディネートしてみたのでご覧ください。
それがこの映像の染帯です。
「雪雀」という名の作品名が付いていて、この帯を目にしたとき雀の表現力に心が奪われましてね~
風情というか日本人の心の内に流れる味のようなものを感じて、迷わず注文を入れた商品です。
いかがですか?
とても素敵でしょ・・・
まず先に、染帯には季節や文化、物によっては遊びを打ち出す力を持っていることから、着物は帯の柄を邪魔しない幾何学模様や無地感の着物でコーディネートするように心がけています。
つまり、帯が主役で着物は脇役という関係なんですが、このポイントを押さえておくと装いがより一層おしゃれになるのではないでしょうか?
しかし、着物と帯が上手くマッチングできたかといっておしゃれが完成した訳ではありません。
最後の仕上げとなる帯〆帯揚げの色の使い方で、せっかくの着物コーディネートが壊れてしまうこともあれば、見違えるくらいに装いに輝きを見せるのが帯〆と帯揚げの使い方です。
そのことを頭に置いて腹に出る部分を映し出してみました。
雀の表情も可愛くてとても気に入っておりますが、シャープな着こなしがお好みであれば、雀さんの胸毛の墨色を持ってくると締まるのではないでしょうか?
できれば墨色の線が細いものを持ってきたほうが色の強さを軽減できるように思います。
スパイシーな色は帯〆で充分です。
帯揚げは墨色の系統に近いソフトな色を添えてみました。
着物と帯のコーディネートに、もう少し遊びを出してみたいようであれば、こちらの帯〆と帯揚げの合わせ方はいかがでしょう。
帯〆に濁りのある色を入れて、帯揚げには飛び柄の絞り染めで、脇辺りに赤味のある茶系の色をポイントに出すとおしゃれではないかと思います。
このよな帯揚げの場合、強い色を雀さんから若干離れた位置に出すと、前の帯の模様が生きるように思います。
もう一つ帯〆の色として考えられるのが、帯揚げにある赤味のある茶色を持って来ても素敵でしょうね~
このように帯〆と帯揚げの色の使い方で装いの表情が変わることがお判りいただけたのではないでしょうか?
ここからこの帯の魅力について語ってみたいと思います。
お太鼓の部分を拡大したものですが、雪が盛り始めた電線に留まる雀たちの表情がとても良く描けているところに惹かれました。
おそらく雀の家族を描いたのでしょう。
上の電線には雀の夫婦がいて、左にいるのはお母さんでしょうか? お父さんにさえずる様子がうかがえますが、そのお父さんの目は3羽の子どもたちを見守っています。
寄り添う子どもたちは初めての雪なのか、上の電線から落ちてくる雪に戸惑う子もいて無邪気さがとても分かります。
そして、雪が降る中で向こう側の電線にも雀が止り、視界の悪さを雀のシルエットだけが描いているところも憎い表現力ではないでしょうか?
寒さの中で温かな雀の家族を見事に友禅で描いた「雪雀」。
この作品は40歳近い友禅作家「水橋さおり」さんという方が描き上げた品で過去にいろんな賞を取られているそうです。
腹の模様の片方は羽根を広げて何かに立ち止まろうとしている構図です。
そしてもう片方は、雪の上を歩いている2羽の雀が描かれていて、その後ろには雀の足跡まで描かれているではありませんか。
妥協をしない水橋さおりさんの想像力がこの帯の凝縮されていて彼女の温かみを感じています。
帯の地色はベージュ系にほのかなピンクが重なり合ったはんなりした色合いで、紬や小紋、色無地などにも合わせて楽しむことができるかと思います。
とにかく味のある帯です。
お値段は20万円近くするものですが、その価値はそれ以上するものだと確信しております。
こうして、こだわりの帯を集まているところですが、ブログで紹介させていただくと、しばらくしてお嫁入りが決まることもあって嬉しく思う反面、神無月の会で披露できない寂しさも少しありましてね~
チョッピリ複雑ですが、「帯への想い」が伝えられるようにベストを尽くしてみたいと思っています。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。

はじめまして。きものふくしま店主福島正弘です。
石川県、金沢市のお隣の白山連峰が見えるところで着物と和雑貨を販売しております。
着物和装に携わって約40年。県内外問わず、全国の着物ファンの方々から様々な相談を受けております。
店主の紹介をさせていただきます。
昭和30年、福井県に生まれる。 昭和48年に京都の染屋で修業を積み、その後昭和51年に石川県の呉服店へ勤務。着物の世界に触れながら「いつか自分のお店を持ちたい」という夢を抱き続け、昭和61年に 「きものふくしま」 を創業しました。
創業当初は無店舗での経営からスタートし、10年目に念願の店舗をオープン。以来、着物ファンを増やすことを使命に、お客様とのつながりを大切にしてきました。
- 情報発信への取り組み 25年前から四季を楽しむ情報紙『あ・うん』を毎月発行。 20年前からは毎日ブログを更新し続け、新しいお客様との出会いを広げています。
- 技術と経験 約40年にわたり呉服業界で培った確かなコーディネート力には自信があります。お客様一人ひとりの個性を引き出し、着物をより身近に楽しんでいただけるよう努めています。
「きものふくしま」は、着物を通じて人と人を結び、四季の彩りを楽しむ暮らしを提案し続けています。
- 法人番号: 8220002000118
- 法人名: 有限会社きものふくしま






