♥ 或るお客様から「七五三の準備をされる方はどれくらいいるものですか?」と、接客をしている中でダイレフトに尋ねられましてね~
その方は妻と同で、事あるごとに着物相談にお越しになられるお付き合いの長いお客様です。
嫁がれた娘さんが男の子をご出産されて、宮参りの着物を見にこられたのですが、他にもお孫さんがいらっしゃることから、七五三のことを気にかけていらっしゃったのでしょう・・・
呉服店さんには、このような問いかけが増えているのではないかと想像しますが、核家族が進む中、若い年代層にとっては着物のことが分からない、着付けや着終わった後の後始末ができない、他にも出費を抑えたいなどの理由から、手軽な着物レンタルと写真館がセットになっているサービスを利用される方が増えているのではないでしょうか?
年々、子ども物の結び帯や草履やバッグ、ハコセコなどの小物類の動きが鈍くなっていることを考えると、七五三のきもの市場がレンタル着物に奪わせていると言わざるおえません。
取り扱う着物や小物類がきもの専門店とは違うものであっても、お若いお母さんにとっては祖父母の応援がないと、負担の少ない方を選ぶ傾向が強いことを申し上げた次第です。
七五三市場に限らず、消費者、きもの専門店、きものレンタル業の三角関係は振袖市場にも似たところがあり、着物を着ることに価値を持つお母さんが増えてはいても、着物の質とかコーディネート、更には着物メンテナンスに至るまで気を配れないところがあるのではないでしょうか?
ここをどのようにして変えてるべきかが大きな課題となっていて、この現状に対しさまざまな団体が着物振興に努力をしています。
お隣の市では市民の文化祭として着付け教室をされているグループが、市の文化会館の一角でボディーに着物をコーディネートしたものを展示されているとのことで足を運んでみました。
会場に居合わせた関係者の方に、こちらのグループの中に当店のお客様がいらっしゃることを話し私が着物関係の仕事をしていることを打ち明けると、呉服店がこの地域にいなくなってしまったことを話されていました。
私たちとは違った次元で着付け教室の活動を伝えるものだと解釈して拝見させていただきましたが、力を合わせて努力している姿に頭が下がる思いでした。
これらのことを踏まえて考えたいことは、労を惜しんでいては限られた専門店しか残れないのではないでしょうか?
お手軽感は若い人たちに心を揺さぶるものかもしれませんが、ここに業界の未来があるとは考えにくいものがあります。
若い年代層の着物に対する価値観をどのようにして変えていけばいいのかモンモンとしたものがありますが、出逢いを持つことがあった人たちに対して、一つ一つ丁寧にお話をして理解を深めていただくことしかないのかもしれません。
それと、新しい商品を目に触れていただいて、植えつけられた固定観念を変える努力も望めれます。
きもの専門店によって店作りのスタンスが違いますが、着物を欲しがらない人の心理を考えてみることも大切かと思います。
タンスにある着物を処分したいと考えている人がいて、その一方で着物でお出かけしたい人がいる。
そのようなニーズに古着屋さんやレンタル業が入り込んできていますが、きもの専門店として譲れなところは残し、初心者に優しい店をどうしたら作れるかを真剣に考える時代が来ました。
どう動くのか自分に問いかけながらも、加賀友禅の染帯の制作にゴーサインを出した日でもありました。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。