「江戸小紋よもやま話」来る4月22日(金)~25日(月)までの期間に江戸小紋を特集致します

桃の節句も終わり、訪れる春の売り場作りが急がれていますが、4月に開催する卯月展に江戸小紋特集をすることが決まっていて、その販促物作りに試行錯誤しているところです。

というのも、一言で「江戸小紋」といっても印刷のように染めたものから、伝統的な技法で染めたものまで、市場にはいろんな品が存在していて、それに、着物初心者には江戸小紋て何なの?と、知らない方も少なくなく、地域の方々に理解を深めていただくためにはどうすればいいのか?

ここしばらくそのことで頭がいっぱいになっていて、江戸小紋のルーツから情報を集めて店の情報紙などでお伝えしてみることとしました。

そこで今日は、私がまとめた江戸小紋についてのレポートをここに載せてみたいと思います。

着物に興味のない方にはとても退屈な記事になるかと思いますが、一度読んでみてください。

 

  「江戸小紋よもやま話し」・・・其の❶

小紋とは、その名のとおり小さな文様を染めたものです。その柄には鮫(さめ)小紋、縞(しま)、宝つくしなど実にいろいろで、一見無地と見間違えるくらい繊細な柄が規則正しく配列されて、生地全体を埋め尽くし、小粋な一色染で染められたものもあります。

小紋は、小紋型染と呼ばれたことに由来します。大紋は武豪の家紋を染め出すもので、武士の広袖の衣装(きもの袖の袖口を縫わない袖の形)に家紋を染めた「大紋衣装」があり、この大紋衣装が裃(かみしも)に変化してゆくのにつれて、裃に小紋模様が入っていって武士の礼装となりました。

そうなると、各大名は一定の柄を占有し始めます。

例えば紀州家は「極鮫」の小紋柄を、島津家は「大小霰(あられ)柄」を、「胡麻(ごま)柄」は鍋島家、「武田菱柄」は武田家、「菊菱柄」は加賀前田家として使われるようになり、一般庶民は恐れ入ってこのような柄は使えませんでした。

 しかし、元禄文化の時代に入ると、小紋は庶民の着物柄として流行しだします。当時のファッションをリードしていた歌舞伎、能などの芸能衣装に小紋が採り入れられたこと、武家の屋敷奉公に入っていた下男、下女が主家の家族から拝領して小紋柄を着るようになり、しだいに江戸庶民の間で広まって行きました。

 江戸小紋の魅力は「遠くから見ると、無地染めの着物のように見えるが、そばに寄ると細かい柄で埋め尽くされていて、合わせる帯や小物で表情を変えることです。当店ではその魅力を4月の「卯月展」にて江戸小紋のメーカーでもある竺仙さんとタッグを結んで皆さんにご紹介してみたいと考えていて、江戸小紋の魅力を深めていただくためにも「あ・うん」にて其の其のを特集する予定でいます。

「江戸小紋よもやま話」・・・其の➋

遠くから見ると無地染めの着物に見えて、近くで見える細かな柄が埋めつくされている江戸小紋は、大きく分けて三つの作業工程を経て着物になります。

始めに型紙を作る人、次に型紙に模様を彫る彫師、そして彫られた型紙を使って着物に染付をする染師の一連の技が一つとなり、美しい江戸小紋が呉服店の店頭に並びます。

どの分野も高度な技が求められますが、これこそが世界に誇れる伝統に培われた「日本の美」で、各分野において人間国宝と称される方々の功績と足跡を絶やすことがあってはなりません。

その歴史は一説には室町時代の武具(ぶぐ)である鎧(よろい)の革の部分や家紋に用いられたといわれ、その後、大名の裃(かみしも)の文様に使われ、江戸時代の中頃には庶民の着物として広まり、今に受け継がれているのが江戸小紋です。

これは着物業界のみならず日本の資産といえるでしょう。

その文化資産を着物として伝えている会社の一つに、「東京竺仙(ちくせん)」があります。江戸小紋を創作する会社として着物業界に知れ渡る着物メーカーさんで、業界で江戸小紋の制作工程の合理化を図る中で、かたくなに伝統の手仕事の技を継承されている会社といえるでしょう。

こちらの会社とはご縁があって浴衣や江戸小紋などで長くお取引をさせていただいていますが、着物が持つ「侘び(わび)」、「寂び(さび)」、「粋(いき)」を兼ね備えた本物の江戸小紋を弊店にて特集したくて相談をしたところ、お力を貸していただけることとなり、来る4月22(金)から25日(月)の4日間、江戸小紋を当店にて紹介させていただく運びとなりました。

ついては江戸小紋の魅力をより深くご理解いただくために、江戸小紋の染師・根橋秀治氏をお招きして、染色工程を目の前でご覧いただけるように準備を進めているところです。そこで、新たな試みとして、市場に存在していない「江戸小紋半衿」をお一人おひとりのオーダーメイドに応えてして染めていただけることを取り付けました。お楽しみいただける企画かと思うので心に留めておいていただけたら幸せに思います。

ここまでお客様に情報としてお配りしていて、其の❸を用意しなくてはなりませんは、お楽しみ企画に江戸小紋で鼻緒を染めて、それを鼻緒として加工して草履下駄にすげ上げるメニューも入れてみることになりましてね~

急いで鼻緒を作っているところですが、何分にもマニアックな企画だけに、広く告知したい気持ちに駆られて今日の記事にしたものです。

私なりに一生懸命知恵を絞って販促物を作っていますが、この想いがお客様に届くでしょうか?

関連記事を先月の2月27日に書いていますので、興味のある方は読んでみてください。

http://kimonofukushima.co.jp/blog/2016/02/post-3479.html

話は変わりますが、結婚式を控えていらっしゃるお客様が黒留袖のカビ取りをして欲しいと尋ねてくださいました。

その方は着物には全く関心がなくて、ある専門店さんの上得意だった姑さんが施設に入っていらっしゃることから、相談する人がいなかったのでしょう。

留袖に合わせる帯を探すのだが見当たらないと、お困りの様子だったもので、ご自宅に伺って探して差し上げることにしたのです。

 

そして、お客様のご自宅にお邪魔してみると、和ダンス4本に着物がギッシリ詰め込んであって驚かされるものがありました。

聞けば、すべて姑さんのだというのです。

一つ一つ確認をさせていただいたのですが、それらしき帯が見当たりません。

すると他の場所から包めれた箱を持ってこられて、その中に素敵な袋帯が潜んでいて事なきを終えることができましたが、それにしても度が過ぎる着物コレクションです。

 

姑さんは着物を買うことが好きで、ほとんど着ることはなかったそうです。

出入りがあった専門店さんのいい鴨になっていて、施設に入ってからはまったく尋ねて来なくなったことを話されていました。

その店は数年前に倒産しましたが、同業者として考えさせらるものがありました。

適切な表現でないかもしれませんが、姑さんの財産をむしり取ったと言っても言い過ぎでないかもしれません。

その意味では恐ろしい業界です。

「この着物をどうしたらいいでしょうか?」と、問いかけられ、私は「きもの好きになってください」としか答えられませんでしたが、これが私たちの業界かと思うと情けなくなります。

少なくとも、その時は襟を正して仕事と向き合わなくてはならないと感じた時間だったかもしれません。

長い作文の記事になってしまいました。

最後までお付き合いくださいましてありがとうございました。

それではこれにて・・・

お休みなさい。