店を開けた午前9時半から夕刻まで店内はお客様が引く時間がなく、その対応にエネルギーを使い果たしてしまったようです。
今日は蒸し暑く、エアコンを効かせたこともあって体が順応できなかったこともあったのでしょう。
人が引いて緊張の糸が切れると、もう一人の自分が少し休もうと言い出し、15分近く横になって休息の時間としましたが、その甲斐あって気力が戻った気が致します。
この映像は竺仙さんの古典柄浴衣で、左が長板中型の藍染で、右が奥州小紋という夏着物にもなる浴衣地です。
たまたまこの2点が店にあったもので、雑誌の切り抜きをから着姿を紹介させていただいたのですが、古典派好みの方には魅力的に感じていただけるのではないでしょうか?
その現品がこちらです。
左の長板中型とは染め方の技法の一つで、長さおよそ三間半(約6m50㎝)✖ 着物幅より若干広い横幅の一枚板に白生地を張った状態で、模様が彫られた40㎝角の型紙を用いて、防染糊(ぼうせんのり)で生地に型付けをし、それを順番につなぎ目が残らないように型紙を移動させながら、着物になる長さまで型付けを済ませ、そして藍甕(あいがめ)で染めたものを「長板中型」といいます。
その染め方は小紋の着物にも使われているものですが、一つ大きく異なる点は、型付けを表裏両面にすることです。
それは裏も表地と同じように染められていることを示すもので、表裏の模様がズレることのない型付けが求められる手間と高度な技を要するものです。
これは江戸時代から受け継がれている浴衣の染色法で、現在では大変希少なものとなってしまいました。
本物志向のニーズが少なくなっていることや、染める技法が機械化されて、安価な価格帯の品が主流となったことで技術の継承者が少なくなっていることが考えられます。
私たちは深く考えることなく「古典柄」という単語を使っていますが、「古典染」という表記をするとしたら、それは、浴衣市場にわずかしか市場に存在しないのかもしれません。
そんなことを感じるものがあり、長板中型の浴衣を紹介させていただきました。
素人みたいなことを呟いていますが、形をつくろう着物文化に深みがなくなってしまって、私たちの役割は何処へ向かおうとしているのでしょう。
消費者ニーズは業界の中身を変えるものとなっていますが、いつの日か後悔をする日が訪れるかもしれません。
消費者にとってはどうでもいいことなのかもしれませんが、業界人として警鐘を鳴らさないといけないのかもしれませんね。
それではこれにて・・・
お休みなさい。