馴染みのお客様が私に伝えたいことがあると言って店にお越しになられました。
そのお客様はお料理屋さんで接待のお仕事をされている方で、或るとき宴席で、ご自身の着こなしをじっと見つめる男性がいて、センスの良さを褒めてくださった方がいたそうです。
その時の着こなしは私の店で用意されたもので、その男性から、どちらで求められた品なのかを聞かれ、”白山市のきものふくしま”さんであることをお話すると、なんと、その方は私の店を知っていて驚いたそうです。
詳しく話を聞けば、70歳を超えた方で、同窓会で東京からお越しになられていて、お生まれは石川県の方だとか・・・
東京で、東京友禅作家としてご活躍されていらっしゃって、お名前をメモ書きされた紙を見せてくださったのですが、私が知る方ではありませんでした。
その話を聞いて、居住地を東京に移していらっしゃる方が、どうして私に店のことを知っていたのかが不思議でなりません。
ネットなのか、それとも業界内で私の店の名前が出てくるのか良く分かりませんが、プロの目から見立ての良さを褒められ、それも私の店のことを知っていたことに感激するものがあったそうです。
私と出会いを持ったことのない、それも遥か遠くの人が私の店の存在を知っているなんて、こんな嬉しいことはありません。
この店の着物ファンを集めるために見えない敵と戦う日々で、落ち込んだりもしますが、誰かが見ているかと思うと襟を正して今以上に頑張らないとならない。
そんな気持ちをいただく機会になった気がします。
思ってもいなかった話題をいただくことになり、元気をいただくことができました。
お客様に感謝です。ありがとうございました。
さて、御召展の開催まで残すところ後一日となりました。
開催前に店の品揃えを紹介することができればと考えていましたが、それが出来なくて心残りに思っているところです。
この画像は曽根氏が織り上げた西陣御召の訪問着になります。
訪問着となれば、模様を染めて描くものが多くなりますが、この御召はボカシが合うように織った、織物のフォーマル着と言えるものです。
着物生地には地紋が織りこめれていて、ほのかな光沢をおびているのは、フォーマル着として格を高めることを意識して織られた着物かと思っております。
こうして、角度を変えて撮ると、宝尽くし地紋が浮き上って見えるかと思います。
染では表現ができない御召ならではの特徴があって、落ち着いたゴージャス感があるかと考えていますが、これが手織の技を生かした曽根氏の御召なんですね~
これに黒っぽい帯を合わせたなら、中高年向きのいなせな雰囲気になりますし、金糸の帯をあわせれば年代層も若くなり、入卒やパーティの席にも着ていける着物です。
御召を品揃えをする中でのひと品に過ぎませんが、曽根氏はカジュアル系の着物も多く織られていて、20日(金)~23日(月)間に御召がどのようなものであるかを紹介させていただきたいと思っております。
そして西陣織のお召し物で最も有名なのが、ここにある雨コートではないでしょうか?
曽根氏が手掛けた品ではありませんが、昔は誰もがお嫁入り支度に用意された雨コートでしたが、近年は既製品などに押されて、その生産量も少なくなり、雨コートを作っている機屋さんが激減していることを聞いております。
価格競争で痛手を被ったこともその背景にあるのではないかと想像していますが、その雨コートも昔とは一皮むけて、センスも生地の風合いもよくなり、それに伴いお値段も随分お高くなっていましてね~
それでも着物を愛用される方には雨コートは必需品で、できればセンスにも気を配りたいものです。
今回の御召展にて少しばかり用意させていただいたもで紹介させていただきました。
西陣織は帯の生産だけでないことを御召展にて紹介したいと思っているので、時間の取れる方は是非とも店に立ち寄ってみて下さい。
まとまらない記事になりましたが、今日はこれで終わらせていただきます。
では、お休みなさい。