私の店はきものと和雑貨を取り扱う店で、仕入先の多くが京都に集中しております。
毎月京都の仕入先に出向いては店で紹介したい商品を見て歩いていますが、京友禅にこだわる仕入先で最も好きな仕入先が野口さんという仕入先です。
毎月この染屋さんにお邪魔しては心が動く商品の出会いがあると、この店の家族として店内で紹介させていただいています。
時にはオーダーメイドできものや帯を制作していただくこともあり、多くのお客様から信頼を集めることができているのも野口さんのお陰かと思っております。
そして今回神無月の会にて、「三職物語」と題して三軒の仕入先の一角として野口さんの商品にスポットを当てる機会をいただくことができました。
皆さんは野口さんという仕入先を余りご存じではないかもしれませんが、話題のきものや帯が様々なきもの雑誌で紹介されていまして、その美しさや珍しい柄に憧れを持たれる方は少なくないのではないでしょうか?
店とのお取引は随分長い訳ですが、京友禅の巨匠として280年余りの歴史を持つ染屋さんです。
江戸時代、呉服両替商から出発した野口さんは、現在オリジナルのきものや帯の制作にこだわっていらっしゃって、古典模様を現代に生かす色使いや図案力に惹かれるものがあり、そのセンスに心を躍らされている者の一人といえるでしょう。
野口さんの染色デザインは先々代から集められた小袖コレクションがルーツになっていると聞いていますが、小口さんのその代表的きもの柄といえば、雑誌の切る抜きからアップさせていただいた三重襷に花束の文様は野口さんらしいい柄の一つと言えるでしょう。
一方で近年は西洋の模様をきもの柄としてアレンジした作品も多く発表されていまして、クリスマスに関連した柄は毎年店の商品として発表させていただいています。
これまで野口さんという染屋さんを口にすることはありませんでしたが、ブログなどで多くの作品を紹介させていただいています。
今回、三職物語でスポットを当てることとなり、多くのきものファンに目に触れていただきたく思っている次第です。
ここにアップさせていただいた3点は野口さんが制作された付下げになります。
どれも古典柄を現代のきもの柄として気品と奥ゆかしさを見事に生かしきっていて、培われてきた職人の技を感じさせられています。
特に中央の三重襷に花束の柄は野口さんらしい作品です。
この松桐梅御所解柄などは茶席の席にお召いただけたら素敵かと思っております。
季節を問わない花菱柄は京刺繍で描かれていて、控えめな柄の取り方に心惹かれるところがあります。
三職物語では付下げの他にも小紋や染帯なども紹介させていただきます。
必ずや目に触れていただけたら貴方の心を豊かにしてくれるに違いないでしょう。
今回三職物語で野口さんの他に竺仙さんの江戸小紋に西陣織の織楽浅野さんの帯も紹介させていただきますが、和装の美しさとは何であるかを問いかけてみたいと思っております。
贅沢な企画なだけに、きものファンには是非とも見逃さないようにしていただけたらと思っているところです。
会期は来る22日(金)から25日(月)までの4日間となります。
では今日はこれにて・・・
お休みなさい。