今日は県外からご注文をいただいていた「狐の嫁入り」を模様にした別注訪問着が染め上がり、テレビ電話でその作品を見ていただく日です。
また、着物が染め上がったことから、その訪問着に合わせる帯の図案を確認していただかなくてはなりません、
そこで今回の仕事を受けてくださった加賀友禅作家「志々目哲也」さんに来ていただいて、お客様とお話をさせていただくことに・・・
この相談をいただいたのは今年の1月のことで、東北地方の方から狐の嫁入りの模様で着物と帯を用意したいとの相談をいただきましてね~
その後にお電話を入れさせていただいて、仕入れ先を廻って探してみるが、適品がなければ「誂え」という選択肢であってもいいかをお尋ねすると、新しく創作するものであってもいいとのことだったのです。
早速、地元の加賀友禅も含めて、京友禅と東京友禅を染めている仕入れ先を訪ねても「狐の嫁入り」を模様にした訪問着が何処にもなくて、当店の地元ととなる加賀友禅で誂えることとしました。
その時に紹介していただいた加賀友禅作家さんが「志々目哲也」さんという方で、二代目・由水十久先生を師とした若手作家さんだったのです。
その後お客様と打ち合わせをさせていただきながら、その想いを志々目さんに伝えると見事に表現してくださいましてね~
その力量に驚かされました。
石川県に加賀友禅作家さんが100人以上いらっしゃいますが、その中で志々目さんが適任であると言ってくれた訳が訪問着の図案を見たときにハッキリ分かりました。
というのも白紙の状態からお客様の年齢と体系をお伝えし、狐の嫁入りの構図を描くというのは容易な事ではありません。
その図案から細かな柄と色を入れて、一つの作品を創りあがることって、センスと技能がないと出来るものではなりません。
これが誂えというものです。
長年この仕事をして来ましたが、県外からこのような誂え品を作らせていただくのは初めてで、その意味でも緊張が走る朝でした。
【お客様の誂えで染めた加賀友禅訪問着「狐雨」】
その創作品がこちらの訪問着となります。
【上前の模様】
この画像が上前の模様になりますが、花嫁の打掛に鶴の模様が入っていて、お手引きさんに着物には束ね熨斗の模様が描かれています。
手のひらサイズよちも小さな着物に一つ一つ模様を描き込んでいて、手を抜かない作家魂を感じさせられるところがありました、
【後ろ裾模様】
こちらは後ろの裾模様になります。
道中を祝って歩いている様子が見事に表現されていて、とにかく凄いとしか言いようがありません。
【上前の八掛柄】
上前の八掛には雨の結晶柄を入れています。
【下前の八掛に漢詩を刻む】
私が驚いたのはここで、下前の八掛に狐の嫁入りの様子を漢文にしたものを書き込んでいるんですね~
その意味をラインで送ってくださることを約束してくださいましたが、この作品にかける志々目さんの想いが溢れれんばかりに伝わってまいります、
【テレビ電話で志々目さんが解説を加える】
その模様の一つ一つを娘がこのようにしてテレビ電話を使って志々目さんが解説を加えるという手順で作品を説明させていただきました。
お客様はとても感激していらっしゃった様子で、拍手されている画像が見て取れましたが、ここまでのことを志々目さんがしてくださるとは思っていなかったもので私も観劇してしいました。
【立姿の上前の柄】
テレビ電話を終えてからこの画像を撮らせていただきました。
本当に素晴らしい作品になったと思います。
【帯の図案/お見せできることができません】
訪問着の紹介を終えてから、次に合わせる帯柄の相談へと移らせていただくことに・・・。
こちらも志々目さんにお願いしていまして、図案を描いたものを持って来てくださったのです。
帯に描こうとしている想いを志々目さんからお客様にお伝えするとOKをいただくことができました。
狐の嫁入りは、帯の模様が入ってストーリーが完成するという作品になっているんですね~
その図案をお見せすることはできませんが、凄い作品になることだけは確かです。
【志々目さんとご一緒に・・・】
志々目さんは今回のことを、「このような機会に恵まれて、これまで学んできた技を磨くことができた」と話されてましたが、いずれ全国の染織作家さんの中でもトップクラスの作家さんになられる方かと思っています。
本当に志々目さんにこの作品をお願いして良かったと思ってますが、どうか最後の仕上げとなり帯の方が残っているのでこちらもよろしくお願い致します。
今回の経験を通して、誂えとなる着物や帯が当店で創作できることをもう少しPRできたらと思っています。
お客様は今回のことで使わせていただいた画像を有効に生かしてくださいと言ってくださったので、その言葉に甘えて画像を使わせていただきました。
感謝申し上げます。
ありがとうございました。
では今日はこれにて・・・
お休みなさい。