私たちは昔から伝わる日本の習慣を深く考えずに受け入れています。
この時期ですと「七夕」・「お中元」・「八朔」(はっさく)・「お盆」などがありますが、その由来や意味を知ることなくなんとなく過ごしているのではないでしょうか。
私が今日の記事に取り上げた 「土用の丑の日」 もその一つです。
「丑の日」にウナギを食べる習慣は知っていますが、何故なの・・・・・という疑問からいろいろ調べてみました。
記事が長くなるかもしれませんが、最後までお付き合いください。
「土用」 とは立春・立夏・立秋・立冬の前の18日~19日間を言うようです。
中国の陰陽五行説では万物は木、火、土、金、水の五元素でできていると考えられていました。
その五行説を四季にも割り振りをしたいと考えた人がいたみたいでしたが、昔も今も季節は 「四季」で「五季」 とは いいませんから 一年を
春は木・・・夏は火・・・秋は金・・・冬は水と割り振りをしたのですが、「土」 が余ります。
そこで、土の性質は「全ての季節に均等に存在する」と こじつけ、余った 「土」 を季節の変わる日に4回、18日間から19日間を配置して 「土用」 としたそうです。
ですから 「夏の土用」 だけが土用ではなく各季節ごとに土用があるんですよ・・・・・
そのそも 「土用」 には季節の交代を円滑に進めるという意味もあるようです。
土は死んだものを 「土に還す」性質と「命を育成する」 この二つを兼ね備えていることから、異なる季節の間に 「土用」 を置くことで消滅する古い季節と、まだ充分に成長していない新しい季節の性質を静かに交代させる働きをするそうです。
では何故、丑の日なのか・・・・・
丑の日は十二支の丑の日です。
私たちは干支を12年に一度訪れる動物として捉えてしまいますが、十二支には日付や時刻、方角などにも適用されています。
一週間を月曜から日曜までの7日間と数えるように、昔は12日間を干支で数えていたんですね~
なので、土用入りから18日間の間に丑の日と重なる日を 「土用の丑の日」 と呼ぶようになったようです。
ちなみに2008年は
土用入りが・・・・・・・・・・・・・7月19日
土用明けが・・・・・・・・・・・・・8月6日 (立秋の前日になります)
丑の日 (干支で呼ぶ日)・・・7月24日
二の丑 (干支で呼ぶ日)・・・8月5日 (今年は2回丑の日があります)
それでは何故、丑の日に 「うなぎ」 を食べるのか・・・・・・
夏の土用の時期は暑さが厳しく夏バテをしやすいことから、昔から 「精を付くもの」、つまりスタミナ食を食べる習慣があり土用しじみ、土用餅、土用卵などの言葉が今も残っています。
又、スタミナが付くものとしては 「うなぎ」 も奈良時代から有名だっことから 「土用のうなぎ」と結びついたのでしょう・・・・・・
今のように土用にうなぎを食べる習慣が一般化したきっかけは幕末の万能学者として有名な平賀源内が夏場に 「うなぎ」 が売れないのでなんとかしてくれと、近所のうなぎ屋に相談され 『本日土用丑の日』 と書いて張り出すと、大繁盛したことが始まりだと言われています。
口コミで広がったんでしょうね・・・・・・・
今で言うのならバレンタインディにチョコを配るようになった仕掛け人のようなところがあったのかもしれませんね・・・・・
その時平賀源内が焼き鳥屋さんから相談を受けていたら、今頃は 「土用の酉の日」 になっていたかも・・・・・
丑とうなぎの 「う」 が一緒だったから・・・・・
どうして牛ではなかったのか疑問が残りますが、「うなぎ」 が国民に受け入れられたんでしょうね。
他にも夏バテ防止の食べ物には 「梅干し」 など 「う」 のつくものを食べると元気が出るという説もあり、「大暑」(たいしょ) の日には天ぷらを食べると夏バテ防止になるという言い伝えもあるようです。
いろいろ調べてみて幾つかの疑問はこれでスッキリしましたが、「陰陽五行説」 のことが私には解りません、調べる元気もなくなってしまいました。
しかし、こうして調べてみると人間の知恵というものが良く解ります。
言い伝えというものは誰かが作ったものなのでしょうが、幾つもの時代を経て、今日まで続いて日本の文化として残っていることを考えると素晴らしいです。
違う見方をすれば、新しい文化を作り出せる可能性があるということです。
ひょとして、和装の業界でも時代に合った文化を根付かせることができるのかもしれませんね・・・・・
その文化を食品偽装などで国民を欺くことだけはして欲しくないですね。