嬉しい悲鳴ですが、朝からとても忙しくギブアップ状態です。
食事を取る元気もありません。
今日の出来事を順序立てて記事を書きたいところですが、あまりにもいろんなことがありすぎて・・・・・
そこで今日は、特に印象に残るお客様の相談を書いてみることにします。
それは着物お手入れと、TPOの相談です。
初めてのお客様で、ご主人の転勤で引っ越しをするにあたり、現在タンスの中にある着物を整理したいと言うのです。
40歳前後の方で、お母さんがお亡くなりになり、その判断が出来ないというSOSにも似た相談でした。
車に和ダンスの引き出しをいくつも抜いてお持ちになり、必要なものと、そうだないものとを分けて欲しいというのです。
店は引き出しの山になり、その数、数十点という着物や帯、そして長じゅばん。
それを一つ一つTPOの説明しながら寸法を測るのですが、どれも寸法がバラバラで、しかもお客様の体系に合っていないものばかり・・・・・
随分古い着物もあり、何と何を合わせたら、着物の装いになるのか戸惑う私。
中にはカビが出ている品や、着物の縮があるものなど、手を加えないとならない品が随分ありました。
お客様は、必要でない物は処分しますからハッキリ言って下さいと言って下さるのですが、それだけに判断しかねます。
例えば袷の喪服が2枚あって、白の長じゅばんが一枚しか無かったり、黒留袖が表と裏地にカビが出ていて、調べてみたら胴裏が化繊を使った既製品であったり、紬や色無地に合った寸法の長じゅばんが見当たらないという複雑な整理でした。
他にもいろいろありましたが、その中から今後必要と考えられる着物と帯・長じゅばんを組み合わせ、4組を選んでみた私です。
それ以上手を加えるとコストがかり、お若いお母さんには負担が大きすぎます。
これから寸法直しやカビ取りの仕事をしないとなりませんが、この現実を目の当たりにし悲しくなりました。
おそらく亡くなったお母さんがご準備なさったのでしょうが、コーディネートのことや寸法のことをあいまいにしたままお誂えになったのでしょうか・・・・・
それとも、販売された呉服店が親身になって考えてくれなかったかのどちらかでしょう・・・・・
世の中にはこのようなお客様がごまんといるのではないでしょうか・・・・・
そして、バラバラに選んだ着物や帯などをタンスにしまい込み、どうしたら良いか判らなくなっている人が・・・・・
考えさせられました。
「人の振り見て我が振り直せ」という格言がありますが、着物を取り扱う店として、今日のようなお客様が増えないように見直しを図りたいものです。
このようなことを繰り返していては、着物離れが増え続けるだけです。
こうして着物屋さんに相談に来て下さったから、生き返る可能性が出て来ましたが、このようなお客様はほんの一握り。
そのことを考えると悲しくなります。
着物はどのような種類の品であっても、お得だからとか、お値打ちだからとか言われて安易に手にしないでください。
誰の着物にするのか、帯を何に合わせるのか、寸法は一定にしているか、いろんな角度から冷静に判断してお選びになることが必要です。
そして、それにも増して信頼できる呉服店で相談できる環境が何より大切なように思います。
そのようなこともあって疲れてしまいました。