おしゃれな長羽織の提案と県外から送られてきた着物のシミ抜きやカビ取りの相談

 新しい週が始まりました。今週金曜日から始める神無月の会の看板も店頭に立ち着々と準備が進んでいるところです。

DSC_0001sinnsilyuutumugitennnokannbann.JPG目指そうとしている店の形を伝えることって簡単なことではありません。

この数か月、何かに取り付かれたように「味のある装に」こだわっていますが、これが果たしてお客様のご理解をいただけるものであるのか。

ここまで来たら自分を信じるしかありませんが、それでも複雑な心境が付いて廻ります。

売場の一角に設けることとなる信州紬。どのような商品であるのか、そして私のコーディネート術を楽しんでいただけたらと思っているので、是非とも覗いてみてくださいね。

今日はとても温かな一日でした。

日に日に寒さが増す時だけに、これからは羽織るものが必要とされるのではないでしょうか?

特に街着となると、外気に触れる時間も多くなり、羽織とかコートが欠かせないように思っています。

DSC_0004siborinagabaori.JPG特に羽織というものは理に叶った羽織物で、防寒にもなりますし尋ねる先々で脱がなくていいものです。

それに、帯結びが多少頼りなくても、着付けの段階で胴回りにシワが目に付いても、羽織を重なることで、装いの弱点を隠せるところがあるように考えています。

その羽織も近頃は長羽織と称するロング丈になっていて、膝より長い丈のものが好まれるようになっています。

これが歩くと膝に揺られてカッコいいですね~

ここにアップした品もそのような種類のもので、桶絞りを加えた小粋な長羽織と言えます。

全体の色合いが淡いベージュ系で、絞りを加えた個所にはチョコレート色を加え、背縫いや脇で色合いが縫い合わさるように作られたものです。

ワンランク上の羽織ですが、明るい地色は着る方の姿を綺麗に見せるところがあって、とてもステキだと思うのですが・・・

これからの季節にもっと羽織の提案ができたらと考えているのですが、なかなか気に留めていただけないこともあって儚いところがありますが、それでも、私たち業界人が羽織に魅力を伝えていかなくてはいけないと思って紹介してみました。

さて、話は変わります。

長年ブログ投稿をしていて、地域の呉服店がなくなり着物相談ができなくなっている、いわゆる「きもの難民」が増えていることに気づかされています。

例えば着物の染め替えをしたいが相談できる呉服店さんがないとか、着物の縫い直しやシミ抜きをお願いできる先がないとか、問い合わせによっていろんなケースがある訳ですが、安心できる呉服店さんを探していることを感じております。

そのような中で県外から着物相談をいただくことが多くなっていて、今日も県外の方から着物と長襦袢が届き、カビ取りやしみ抜きのことで、7点のお直しの依頼がありました。

お客様が気付かれたお直しの個所がメモされてありましたが、確認してみるとお客様が気付いていない個所に問題があることが判り、確認の電話を入れてお見積もりを取らせていただくことに・・・

というのは、前もってお話をしておかないと、後で不信感に繋がる恐れがあるからです。

その一つが、黒留袖のカビ取りです。

その個所を確認してくて着物を広げてみると、掛け襟の下の部分の黒の地色に色ムラがあることに気づきましてね~

DSC_0009kurotomesodenoonaosi.JPGその個所を写真に収めてみました。

判りにくいかと思いますが、映像の中央部に濃度の濃い部分が縦に棒状になって見えるかと思います。

おそらく、染めたときの染料にムラがあったのではないかと考えられます。

そしてもう一点、シミ抜きで送られてきた小紋に色ヤケがあり、これも事前にお伝えしておかないといけません。

そのことを電話でお伝えしたのですが、このことを例に取っても肉眼で見える個所以外に隠れた部分に危険が潜んでいることもあり、とても気を遣います。

預かったからには私の責任ですからね・・・

今回のお客様は、私に店を信頼して相談をくださったと思いますが、このような方が全国に沢山いらっしゃるのではないでしょうか?

改めて、呉服店さんの役割みたいなものを感じています。

着物が売れないとか、着物離れが止まらないとか呟く前に、地域に住む着物愛好家に向けて相談しやすい店を築いて行くことの「重み」みたいなものを、残された呉服店さんは気づかなくてはならないのではないでしょうか?

そんなことを感じたもので、話題に採り上げた次第です。

しかし、着物に触れることの多い着物愛好家と、一生に数回しか着物を着ない着物愛好家の着物に対する目線の違いって、とても大きいものがあります。

どちらも愛好家であるだけに店作りの難しさがありますが、一生に数回しか着ないお客様をおろそかにしは、業界の未来が見えてこないことだけは確かなようです。

それではこれにて・・・
お休みなさい。