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長年着物に触れていても着物コーディネートはとても難しいところがあって、この目で確かめながらバランスのいいコーディネートを提案するようにしています。
時にはブログのアップすることもありますが、納得できるものになるまでのプロセスをほんの少しですが紹介したいと思います。
今回の映像は茶にグレーの夏お召しから始まります。
カジュアル系の夏着物に、写真の帯を合わせましょう・・・。
なにかが違います。
着物は太めの縞柄に格子柄の線が入っていることで、スッキリした帯が良いと考え、色が入らない、濁り色のグレーをベースにした帯を合わせましたが、ピントきません。
織楽浅野さんという西陣織メーカーの単衣用名古屋帯では格が高い感じがして、素材も含め着物との周波数が少しずれるみたいです。
帯を変えてみました。
麻の細帯を乗せてみました。
先程の名古屋帯より感じがいいみたいですが、私の店らしい合わせ方ではありません。
(合わせ方は好みの問題です)
それでは帯を残して着物を変えてみましょう・・・。
麻素材の小千谷ちぢみと麻の細帯とのコーディネートで、腹で表地を切り返し、裏面の茶の無地を少し出してみました。
なかなか良いではありませんか。
麻素材同士で違和感もなく、細帯の白と墨色の色合いが爽やかさを引き出しています。
帯の茶色が入ることで、着物が締まっておしゃれな着こなしとなりました。
こうして、毎日のようにして着物コーディネートをしながら、着物の持ち味を出す感覚を勉強させてもらっています。
しかし、何が正しくて何が可笑しいかは感覚の違いで、確かな答えがありません。
この理屈を料理に例えてみましょう。
10人のシェフが目の前の食材を使って、美味しい料理を競い合ったとしたら、味も見た目も違った料理を目の前に並ぶことでしょう・・・。
私たちは味を確かめ、自分の口に合った料理が一番美味しいと判断する訳で、着物の見立てと、お客様の関係も同じ事が言えます。
その意味で、好みに合った感覚の店を見つ出すことが、着物選びに必要とされる部分です。
話しが途中からずれてしまいましたが、どうか参考にしてください。
では、今日はこれにて閉店です。
皆さん・・・お休みなさい。