今朝のワイドナショーで隅田川花火大会が一日順延になったことで、浴衣レンタルのキャンセル電話が鳴やりまなかったことを話題に採り上げていました。
「浴衣までもがレンタルレンタル?」
そのことを薄々感じてはいたもののワイドナショーも話題となり、浴衣を販売する側に立つ店としては耳にしたくありませんでした。
着物を着てみたいと思っている人は多いと聞いていますが、そのニーズが着物レンタルと結びつく現実は和装の世界に新しいレールが引かれたということになります。
それは呉服屋さんの存在を脅かすもので、若い年代層の着物に対する価値観が変わり始めていると言えるのかもしれません。
この世にパソコンや携帯電話が普及して世の中の仕組みや利便性が大きく変わりましたが、そのことで影を潜めた仕事もあれば新しく生まれたビジネスもあり、この世の中、何も変わらないといういうことは考えられなくなりました。
外食産業にレストランや大衆食堂、ファーストフードに居酒屋など何かに特化した店が増え、食文化も冷凍食品やカップ麺を誰もが手にする時代です。
変わり行く現実を受け入て、着物サービス業と共存しながらも差別化をどこで図れるのかを真剣に考えなくてはならない時が訪れたようです。
浴衣商戦も最後のラウンドまで来てしまいましたが、リーズナブルな価格帯の一般的な浴衣は動かなくなりました。
私の想像ですが、この分野の商品や価格帯を好まれる方は量販店やネットショップへと流れたのではないかと考えていて、その一方で、単価の高いこだわりのある古典柄はお客様の注目度も高く、お嫁入りが決まる率が高いことを考えると、お客様がこの店に何を求めているかが判断できます。
本日のことです。
私の店でご主人の小千谷縮を誂えてくださったお客様がビールをこぼされたそうで、丸洗いをして欲しいと持ち込まれました。
私の顔を見るなり、主人がとても着心地が良くて喜んでくれたと、その様子を笑顔で伝えてくださいました。
また違うお客様で、私がお勧めさせていただいた畳表の草履下駄を履かれたそうで、履き心地がとても良かったことを店のスタッフに伝えてお帰りになられたそうです。
どちらの商品もこだわりのある品でどこにでもある品ではありません。
呉服店が少なくなったことで新規のお客様にお応できればとお手軽感のある商品も品揃えしていますが、そのような品を選びに来られる方は極めて少なく在庫が虚しく残っている感じがします。
それは二人のお客様の喜びの声からも店の役割が視えてまいります。
着物レンタル業が勢いを増す中、着物を愛する着物愛好家から選ばれる店になる分岐点に入ったと言えるでしょう。
どの道を選択したらいいかが見えているようで核心の持てるものではなく、原点に立ち返れば、戦略よりも私が信じれる商品を採り上げることかと思えます。
周りの人たちはいろんなことをアドバイスしてくださいますが、その答えはお客様の笑顔の奥に隠されていることを自分に問いかけてみたいです。
浴衣を核にした店作りはここまで来るとパワーを失っていて、ウインドーにも寂しさを覚えるものがありますが、お盆明けまでは浴衣に頑張って欲しいと思っています。
今はその先のことを水面下で考えておりますが、何を選択してもイバラの道であることを腹に据えて秋口の青写真を描いているところです。
それではこれにて・・・
お休みなさい。