不自然な夏場の着物TPO・そしてお嬢様の晴れ姿(振袖)を拝見しました

 台風の影響で予定が狂った人が多いかと思いますが、夕方になって、ようやく西の空が明るくなってきた気がします。
日中は雨風が続いていて、来客の少ない一日でした。
制作が遅くなっていた四季を楽しむ情報紙「あ・うん」の9月号を作り始めたところですが、そんな折に前撮りを終えた振袖姿のご家族が店を尋ねてくださいました。
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こちらがそのお嬢様です。
県外の大学に通っていらっしゃっていて、初めてお目にかかりましたが、ご身長もあって清楚振袖姿にうっとり・・・
ご無理を言って写真を撮らせていただきました。

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こちら様のお母様とは、この春に出会いがあったお客様で、他店でご準備された振袖に帯や小物がどうしも合わないと言ってご相談にこられた方です。
私が帯と帯〆帯揚げ重ね衿をお見立てをさせていただいたのですが、とてもご満足されて、お嬢様の晴れ姿を見せに来てくれたんですね~
家族の絆の中に、私が関わることができて本当に嬉しく思っています。
ありがとうございました。
話しは突然変わりますが、毎年この夏場を迎えて和装業界の在り方と盛夏の装いについて考えさせられることがあります。
それは不自然な夏場の着物TPOです。

昔と違って盛夏の着物は多く作られている訳ではありませんが、絽の黒留袖や振袖、附け下げや小紋など、夏の暑さを軽減できる素材の品が流通していますが、それに伴う小物が和装小物が市場にあまりないことを気づかされています。
例えば、絽の振袖があっても、夏の振袖に合う夏用の帯〆帯揚げ刺繍の半衿が市場にはありません。
他にも、夏用の紗織りの羽織に合わせる羽織紐や帯留に使う夏用の三分紐もほとんどありません。
草履やバックにしても、夏用らしきものがそんなに種類が多くある訳でもなく、夏用の小物で充分対応できるものと言えば、訪問着からカジュアルの着物に合わせる半衿と帯〆帯揚げくらいかもしれません。
需要が少ないということから作られていないのだと思いますが、他の季節商品と合わせ技でおしゃれな装いを組み立てなければならないとしたら、着物屋としての意味を持たないのでないか?
そんなことを考えることがあります。
良くあるケースで、夏場の結婚式の装いを考えてみましょう。
新郎新婦のお母さんが着物を着るとなると正式には絽の黒留袖です。
しかし昨今では、冷房が効いている会場とあって、ほとんどが袷の黒留袖をご使用になられます。未婚者の女性も着物で主席となれば袷の振袖です。
私たち業界人はそのことを容認していて、夏物をご準備してくださいとは言いにくい環境にあります。
しかし、主席者の中で結婚式にふさわしいフォーマル着のご相談を受けたとしたら、夏の訪問着や附け下げなどをお召しになることをおススメしていて、帯〆帯揚げも夏物にされることをアドバイスしています。
その時にパールの帯留をしたいと言われれば、帯揚げは、夏物で三分紐は夏用に作られたものでない品で見立てています。
自分でも不自然に思えてしかたありませんが、夏場の装いの境界線が実にあいまいで、何がダメで、何が許されるのかが判らないままにおしゃれを語っている気がしてなりません。
市場に充分な品が揃っていない事もありますが、踏み込んだお話しをすると、着物を着ることをあきらめるお客様が少なくなるからで、難しい問題をはらんでいるように思えてなりません。
このままでは夏物なんていらないという理屈が成り立ちます。
置き去りにされている夏物の装いに、業界人の一人として考えさせられるところがあります。
判りやすく文をまとめることができませんでしたが、これで終わることに致します。
ではこれにて・・・お休みなさい。

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