貝桶に松の柄を取り合わせた振袖から今の振袖市場と手仕事の染屋さん現状を綴ってみました

♥ 北陸の年末にしては、穏やかで動きやすい日が続いております。

天気予報では、ここしばらく雪が降ることもなく気温も高く推移するようで、雪のないお正月を迎えることができそうです。

来店されるお客様はお正月のご準備で忙しくしていて、ゆっくり腰を落としてお話ができる状況でないことがうかがえます。

店内は初売りを迎えるまでに整理を終えて、残すは店の奥の片づけと掃除を残すまでとなりました。

それでは今日の投稿です。

DSC_0005matutokaiokegaranofurisode.JPG店内奥の特設会場はこだわりの振袖一色になりました。

明日、古典柄振袖のお見立てが2件入っていて、かつてない華やかな振袖が並びました。

 

着物の良さを判る方であれば、ご納得できる品揃えかと思っておりますが、本物の振袖を見る機会が少なくなっていて用意した振袖柄に驚かれるのではないでしょうか?

昨今の振袖市場は量産された振袖で溢れていて、販売方法も着物初心者に判りやすく表示した、お仕立てを加えたセット価格が主流となっています。

それも価格競争が激しくなっていて、価格帯が低くなっているのが現状です。

それらのことが、数十年前に当たり前のように存在していた手仕事の振袖が、売る側からすると、販売したい価格帯ではなくなり、低価格と付加価値を付けたサービスを追い求め、着物初心者にお得感を問いかけるようになっているのが、今の振袖市場ではないでしょうか?

そうなると質の高い振袖の出番が少なくなり、こだわりに振袖が作れなくなっているのが自然の流れで、質の高い振袖が市場から消えていくということかと考えております。

現に手仕事の振袖の生産量は激減していて、ありふれた振袖に不満を持つ消費者にとっては、こだわりの振袖が選びにくい状況下にあるといえるかもしれません。


その背景には、着物の価値が判らない人が増えていることが考えられます。

しかし1・2年前あたりから、送られてくるパンフレットにない振袖を探している方が増えていましてね~

それは流行に捉われない品質の高い古典柄です。

DSC_0008matunikaiokagaranofurisode.JPG映像をアップさせていいただいた品もその中の一つで、京友禅の伝統ある技術を駆使した振袖といえます。

貝桶に松の柄を取り合わせた振袖で、お目出度い成人式を祝う吉祥模様です。

くせがなく、清楚で華やかな振袖かと思いますが、染められた職人さんがご高齢になっていて、後継者が育っていないことを作られた会社の社長さんが口説かれていました。

これが手仕事にこだわる染屋さんの実情です。

着物が安ければいいと思っていらっしゃる方にはどうでもいいことかもしれませんが、安さを追求するあまりに、職人の技が途絶えてしまっては業界大きな損失で、それが目の前に迫って来ていることをいくらかでもご理解をいただければと思います。

そのような状況下の中で、店には上質な振袖が数多く揃いました。

明日のお見立てを終えてから、1月3日の初売りには「一日限りの振袖展」を開催させていただきますが、仕入れ先にご無理を言ってお力をお借りできたことを心より感謝しています。

ありがとうございました。

それでは今日はこれにて・・・

お休みなさい。

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