春先に向けて色無地の提案を考えていて、今日はそのことについて記事を書いてみたいと思います。
昔は色無地といえば冠婚葬祭の場に付きものの着物とされていました。
一般的には背中に家紋を一つ入れて、入卒や不祝儀に役立つ着物としてご準備された方が多かったのではないかと思っています。
販売する側も、喪服と同じように社会の交わりの中で必要であるかのように トークを語って売り込んだもので、お嫁入り前の娘さんには、式事に役だといってピンク系やオレンジ系の色を、不祝儀の場合には、紺系や金茶系などの明るさを抑えた色を勧めたものです。
振り返ると色無地はおしゃれとは無縁だったように思いますが、時代の流れがしだいに着物離れへと進み始まると、色無地の役割が問われるようになり、色無地の捉え方も変わってきているように感じます。
本来色無地は模様がなくて、黒以外の色で染めた着物のことをいいます。
背中に家紋を入れることで格の高い礼装着になり、結婚式の披露宴にも、入卒用のお母さんの着物としても、お通夜や法事の席にも、又はお茶席などの習い事にも活用できる便利な着物といえます。
しかしそのような席に色無地とは違う華やかさや味を求められる人が増え、一方で不祝儀に着物を着装されない方も増えたのか、色無地の需要が少なくなってきているのが現状です。
ところが数年前から色無地を街着としての着たいいう声が届きまじめ、家紋を入れないで仕立てる方が増えているんですね~
つまり色無地がおしゃれ着の中に入り込んでいて、家紋の代わりに飾り紋を入れる人や、紋を入れないで帯で格を上げたり、時には、おしゃれな帯を合わせて、おしゃれ感を表現しようとしている感じが見受けられます。
私としては業界が定着させた着物のTPOに縛られない発想があってもいいと考えている者の一人で、コスト的にもリーズナブルな色無地をもっと活用すべきではないかと思っております。
そのことを前提に色無地の品とおしゃれを考えてみたのでご覧ください。
採り上げたのは地紋が入った柔らかなレモン色です。
地紋が入っていると、光の反射加減で地紋が浮き上がって見えたりして、ゴージャス感が増すものです。
勝手に「色無地小紋」と呼んだりしていますが、この色無地を入卒を迎える頃の春の装いとしてコーディネートしてみました。
まず最初にお子様の入学式の装いです。
式典でもあるので、色無地の格を上げる意味で刺繍使いの帯を乗せ、桜が咲くころでもあるので桜柄を持ってきました。
着物には何一つ模様が入っていないのに、組み合わせがエレガンスでしょ・・・
豪華な訪問着にも引けを取らない、品と味があるように持っています。
音楽の鑑賞やお友達とのお食事などの街着として着こなすのなら、おしゃれな染帯を合わせると素敵な装いになるでしょ・・・
着物に模様がないので、帯の柄が引き立つでしょうね~
遊びの会にお出かけのときには、紬地のタンポポ柄の刺繍帯で・・・
カジュアルな感じが引き出されていると思います。
私たちの業界に「着物一枚に帯三本」という言い伝えがありますが、まさにそのことを表すかのような使い分けではないでしょうか?
しかし色無地に正式な家紋が入っていると、街着の装いと噛み合わないところがあるように思います。
その点をどう考えるかですが、自由な着こなし術があってもよろしいのではないでしょうか?
店側とすれば、「たかが色無地をされど色無地」として、素敵な着こなし方をお届けしたいと考えていて、2月に色無地の提案をしたいと考えています。
そこでこだわりたいのが、色無地の素材と色、そして目的に合わせた帯とのコーディネートです。
入卒の装いを着物で出席したいとお考えの方は、色無地の選択肢もあってもよろしいのでは・・・
近くの神社で左義長が行われる日だったもので、お正月の飾り物を持って行ってまいりましたが、左義長が始まる前から多くの人が来ていて驚くものがありました。
昨夜から降り積もった雪が残っていましたが、この時期としては嘘のような積雪です。
今日はこれ以上降り積もることもなく、穏やかに一日が過ぎていきましたが、厳しい寒さと雪は何処に行ってしまったのでしょう。
喜んでいいのか複雑な気持ちですが、地域経済に一石投じていることだけは確かなようです。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。