来る4月22日(金)から25日(月)の期間に江戸小紋を店内で紹介したいと考えていて、これまでに江戸小紋のルーツやオリジナル江戸小紋半衿を作ったことをこのブログで呟いてまいりました。
しかし、それだけでは江戸小紋の魅力を感じ取っていただけるものではないかもしれません。
おそらく江戸小紋がどのような場に適した着物であるか、また、トータルコーディネートをどうしたらいいのか、など、具体的な着こなし法を知りたいと思っていらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今日は、間近になった入学式のお母さんの装いを想定して、ヤングミセス用の一枚の江戸小紋をTPOに応じた三つのパターンでトータルコーディネートしてみたのでご覧ください。
≪小学校の入学式の装い≫
30歳前後のお母さんを想像して、オレンジ系の色の江戸小紋を選択してみました。
江戸小紋は遠目に色無地に見えて、近くで見ると細かな模様が全体に埋まっているのが江戸小紋です。
どちらかといえばヤングミセス用の古典的な色合いで、このような江戸小紋がタンスの中に眠っているのではないでしょうか?
そこで現代風にアレンジしたくて、レモン色の加賀友禅染め帯で組み合わせてみました。
若干色合いが奇抜だったかと思うところもありますが、晴れの一日でもあるので明るめの装いでまとめると春が来たことを感じ取れるのではないでしょうか?
小さなお子さんと同伴ということもあり、手荷物が増えることも考え横長のあおり型バッグを用意してみました。
前はこのような感じで仕上げてみました。
とても清潔で素敵だと思いませんか?
帯揚げは水色系にピンクにボカシは入った中に刺繍で宝尽くしの文様を入れたものです。
そして帯〆は平織のものを使って装いの格を上げてみました。色も春を感じる若草色で・・・
次に同じ着物で街着としてコーディネートしてみたいと思います。
花見の季節かと思うもので、お友達と着物で遊ぶ一日を想定してのコーディネートです。
≪街着の装い≫
帯を織物の素材にお花の模様を染めた全通柄を持ってきました。
入学式の装いとは趣がまったく変わったでしょ・・・
楽しい気持ちが装いの中に表現されたかと思っていますが、白地に桜柄が入った手提げバックからもカジュアルな感じがして花見を満喫できるのではないでしょうか?
前はこのような感じでまとめてみました。
ラフな雰囲気がいいでしょう。
帯の模様が詰まっていることから、あっさりしたボカシの帯揚げを入れてみました。
帯揚げの地紋に桜柄が入っているのがおしゃれかと思っております。
そして帯〆はカジュアル感が溢れるもので組み合わせてみましたが、ここに帯留めを持ってくるのも楽しみ方の一つです。
さて、ここからが初めて世の中に送り出す江戸小紋半衿の使い方です。
この小紋に黄色の小紋半衿を合わせてみました。
掛け合わせた半衿をしまい込むのを忘れてしまいましたが、ベースが白地だけに襟元の明るさを失っていないし、小紋柄がアクセントになってとてもおしゃれだと思いませんか?
このような半衿が市場になかっただけに新鮮さもあって私は好きですね~
マニアックなところでは、新緑に緑も面白いではありませんか?
このような遊びの分野は私の得意とするところで、帯のコーディネートも含めて楽しい提案ができればと考えているところです。
この半衿が登場したこともあり、少し言葉を付け加えさせてください。
江戸小紋は地色だけが染まり模様には色が入っていません。
今回提案させていただく半衿は着物の染め方とは反対で模様に色を付けています。
協賛をいただく竺仙さんによると、私の依頼があって始めて染めたそうです。
江戸小紋展にて6種類の文様を6配色の中からご自身のお好みの模様と色をお選びいただいて、染師の根橋さんに染めていただくことができます。
使う半衿は肉厚の正絹塩瀬半衿で、4日間限定で受け付けますがお値段の設定が難しくてね~
竺仙さんの担当者は「現代の名工」と称される根橋さんが染めるものだから、その価値をキチンと伝えるようにと釘をされていて、希望価格は16,200円でお願いしたいとのことでした。
しかし、多くの人に手にしていただいたいという想いがありまして、悩んだ末に税込1万円で販売することにしました。
どうかご理解をいただきますよう宜しくお願い申し上げます。
ついてはご予約をいただくことも必要かと考えるところもあり検討しているところです。
話が脇道にそれましたが、次にお友達の結婚式の披露宴の場に着ていく着物としてコーディネートしてみたいと思います。
≪婚礼の席の装い≫
華やかな場でもあるので、江戸小紋の格を上げる組み合わせが必要になります。
そこで帯にはフォーマル用の袋帯を持ってくるのがベターな合わせ方かと思います。
帯〆帯揚げも訪問着に合わせるような質感のものが求められます。
このような場でも洒落っ気は必要ではありません。
唐帯の袋帯などもお似合いかと思いますが、あいにく適品がなくて銀の帯を合わせてみました。
帯揚げは柔らかな色使いで文様のところが唐織になたものを使ってみました。入学式の装いに使った宝尽くしの帯揚げも敵品かと思っています。
そして帯〆は平織のものを・・・
さて、ここからが着物の格を上げるのに大切な要素があります。
それは襟元です。
一つには伊達衿(重ね色)を使うことで、改まった装いへと変身します。
加えて白地の吉祥模様の刺繍半衿を使うと着物の格は一段と高まるでしょう。
ここで使ったのは宝尽くしの刺繍半衿で、衿を中に入れることを忘れてしまいましたが、清楚な感じが表現できたかと思っています。
これも呉服店さんの見立てによってコーディネートが変わるかと思いますが、一枚の江戸小紋が帯や小物を変えることで、いろんな場の着ていけることがご理解いただけたのではないでしょうか?
私たちの業界に「着物一枚に帯三本」というセールストークがありますが、まさに江戸小紋はそのことを証明するだけの価値を持ち合わせた着物です。
どうか頭の隅に留めていただければ、江戸小紋を取り扱うものとして幸せに思います。
この場で紹介さした江戸小紋は、当店の江戸小紋展に力を貸していただけることとなった根橋秀治さんが染められた着物です。
根橋さんは竺仙さんの仕事を請け負う染師で今年で66歳になられました。
2009年に厚生労働省から卓越技能士「現代の名工」として認定された方で、昨年、黄綬褒章を受章されたそうです。
その方の力添えをいただけたことをとてを光栄に感じておりますが、それだけに広く江戸小紋の魅力を伝え、一人でも多くの人に伝統の技を生かして染めた江戸小紋を手にしていただきたいと思っています。
今日は江戸小紋のコーディネートと店のPRが入り混じった記事になりましたが、最後までお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。
それではこれにて・・・
お休みなさい。
書き終えてホットしました。