上田市で作られている「上田紬」の若き経営者「小岩井紬工房」を訪ねてみて・・・

   
IMG_0207uedaeki.JPG 初めて上田駅に足を踏み入れてみました。

ここは2016年NHK大河ドラマ「真田丸」で話題となっている地で、町あげて観光を後押ししているところです。

私はこの町で作られている上田紬の工房を見ておきたくて訪れてたもので、観光に来たわけではありません。

上田駅には仕入れ先の担当者が待機してくれていて、車で15分くらい走らせた国道沿いから中に入った住宅地に、今回お世話になる「小岩井紬工房」がありました。

IMG_0209koiwaikoubou.JPG昔ながらの味わいのある木造建築物で田舎の風情を感じさせられるたたずまい。

出迎えてくださったのは工房の代表を務める「小岩井良馬」さんで、十数年前にお父様から引き継がれた若き経営者でした。

日曜日とあって休日でしたが、工房を拝見させていただくことに・・・

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IMG_0213.JPG現状を聞かせていただきながら、上田紬ができるまでの工程を教えていただいたのですが、最盛期はこの地の50件近くのメーカーさんがあったのが、マーケットの縮小と共に残っているのは5社にまで減ってしまったとか・・・

和装業界がバブル期から比べてマーケットが1/10にまで落ち込んでいることを考えると、同じように上田紬の産地も現実の厳しさに晒されていることがうかがえます。

その中でも手織紬にこだわっているのは小岩井さんの工房だけみたいで、新たに林檎染めという新しい染色方法を生み出し、新しい風をこの会社のブランドとして努力しているそうです。

IMG_0218rinngozome.JPGこちらが糸を林檎染めした後で、色合いが変わって見えるのがお判りいただけると思いますが、林檎の種類によって染め上がりの色が変わってくるみたいです。

IMG_0219rinngozomenotumugi.JPGこちらが林檎染で織られた紬で、品の良さが伝わってまいりますが、コストもかかるみたいで、私が買い求めた上田紬の倍のお値段がする、こだわりの紬だとか・・・

小岩井さんが作られている紬は化学染料で糸を染めて、手織で織ったもを上田紬として市場に送り出していて、方や林檎染めになると販売価格が跳ね上がるのには、それなりの意味を含むものがあるようですが、多くの紬産地がある中で、ここにしかないものを作っていらっしゃる姿勢に心打たれるものがありました。

おそらく林檎染めはこれからの商品なのかもしれませんが、初めて拝見させていただきました。

そして、小岩井さんに呉服店に望めれることがあれば聞かせてくださいと尋ねてみると、真面目に商売と向き合って欲しいことを話されていました。

深く追求することはありませんでしたが、着物が好きで、一人でも多くの着物ファンを増やそうと努力している店が少ないことを意味しているのかもしれません。

私は着物のマーケットをフォーマル着に頼っていては、着物愛好家を増やしていくうえで限界があるように思っています。

むしろ紬というカジッアル着にマーケットを広げる伸びしろがあるように考えていて、この部分の開拓が私たち小売店さんの腕にかかっているのではないでしょうか?

簡単なのとではありませんが、作り手も想いをよく呑み飲んで、お客様に伝えていくことが私たちの役割だとしたら、必ずや、どこかで花が咲くと信じてみたいものがあります。

小岩井紬工房さんにはなんとしても頑張っていただきたいと思っています。

その担い手になる店であるのか、正直、断言はできませんが、秋の神無月展に上田紬を採り上げてみます。

どうかお力をお貸しいただけたら幸いです。

そこで、何をどうするのか?

この先の目的がおぼろげに視えて来た一日だったかもしれません。

それではこれにて・・・
お休みなさい。

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