中身の濃い京都出張でした

   今日は仕入れ先の人と中身の濃い話ができた一日でした。

それは、立つ位置が違っても業界の未来のことを一生懸命考えていて、売り買いの次元から離れて問題点を探るもので、高齢化が深刻な問題点になっています。

職人さんが病気で物が作れなくなったとか、地方のきもの専門店さんにおいては、高齢化が進み商売ができなくなった先が多くなっていることや、お客様を集められなくなっていることなど、時代の変化についていけなくなっていることがうかがえるものでした。

一方で、人口密集地にあるきもの専門店さんや、ショッピングモールに出店されている先は健闘されているようで、積極的に店を展開されている先にはお客様がお越しになられているようです。

あくまでも一般論ですが、小さな家業店が力を失っていることは確かで、メーカーさんも以前のようにこだわりのあるものを作れなくなっています。

それは、下駄を多く揃えているメーカーさんでも見てとれるものがあり、5年近く前に比べて1/3くらいまで生産量を減らしていて、種類も量も昔の面影がありませんでした。

昨日の事です。

或る方がお仕事で着る単衣の着物を用意して欲しいとお越しになられました。

冒頭そのお客様は「めっきり呉服屋さんが少なくなってしまって・・・。お沢山は地元の方ですか?」

そんな問いかけから着物相談をいただいたのですが、お話を進めていく中で、

「単衣物のお仕立て代はどれくらいなの?」

金額を申し上げると、「これまで知り合いに縫ってもらっていたので、安くしてもらっていたの・・・! その方も年を老いて縫えなくなってしまってね~」

私にはその言葉が含みのあるものに聞こえたもので、仕立て師さんがボランティアで仕事をしている訳ではないことを遠回しに申し上げたのですが、何かが違う感じがしてなりませんでした。

お客様は呉服店が少なくなっていることに不便を感じていて、その一方で、海外での仕立てやミシン仕立てを嫌がっていながらも、お仕立て代のことを気にされます。

少しでも出費を抑えて手にしたいと考えるのは普通の消費者心理かと思いますが、着物離れが続く中で、そのようなニーズに応えようとして廃業に追い込まれた呉服店も少なくないのではないでしょうか?

これが地方の呉服店の生の姿です。

インターネットの普及や、海外での生産や機械化生産は職先の仕事を脅かし、レンタルショップや古着店の勢いも増す中で地方の呉服店さんは弱い立場に置かれています。

そうした中で、他店との差別化を図ろうとして試行錯誤していている訳ですが、着物を知らない人口は増えているだけに、一筋縄では変えられない現実が影を落としているように思えます。

そんな議論で熱を帯びて、帰りの電車に乗り遅れそうになりましたが、ゴールデンウィークの狭間とあって、同業者が少なかったからゆっくり話ができたのでしょう。

私にはとても刺激になるものがあり、信じることを試しながらも何度でもリセットして、着物愛好家に近づきたいと自分に問いかけ続けた出張でした。

今日の映像が用意できなかったのが残念です。

それではこれにて・・・
お休みなさい。

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