きもの再生・大島紬を綿入れ伴天に作り替えてみました

きもの再生・綿入れ伴天

 寒い日になりました。季節はみるみるうちに移り変わり、これから寒さの心配をしなければならないと思うと少し憂うつになります。

夏の猛暑日もきついですが、冬は空から雨や霰に雪も降ってきますし、冷たい風もビュンビュン吹くこともあって、外出しにくいことが仕事にも影響するので喜んで歓迎できません。

 

と言いながらも静かに冬が近づいていて、冬の備えを考えなくてはならない季節が訪れたみたいです。

我が家も温風ヒーターを出して寒さ対策をしたところですが、気温差が激しくなっているので風邪には十分注意を払わないといけませんね。

 

さて、今日の話題は寒さ対策の一つとなる綿入れ伴天の話です。

 

それは着物から綿入れ伴天を作って欲しいとの県外からの相談で、お話を聞けば、地域の数件の呉服店にその話を持ち掛けたところ、仕立てる人がいない言って断られたこともあって、私の店に電話をいただいたものです。

 

 

過去に綿入れ伴天を仕立てたことがあったので、お受けさせていただいたのですが、送られてきた着物が立派な大島紬であったことや、寸法が大きいこともありまして気を使うものがありました。

 

ご近所さんであれば、目の前で着物生地を広げて説明できるのですが、県外なもので、仕事をさせていただく前にお見積りをさせていただいて、納得いただける金額を提示しなければなりません。

 

この見積もりと、足りないものを調達することが難しくなっていましてね~

既製品の伴天を見ていたら想像がつかないかもしれませんが、これが現実です。

 

まず、裏地や着物綿、そして伴天の衿に使う黒い掛け襟を準備しなくてはならないのですが、仕入先に取り扱いがなくて、手芸屋さんや布団屋などの限られたショップで購入しなくてはなりません。

 

それもどれだけ必要かが問題となってきます。

仕立て師さんと何度も相談を重ねて、綿入れ伴天の裏地に化繊の生地を使うよりも、絹の方が綿との反りが合うのではないかということで、大島紬に合わせてある八掛を裏地に使うことに・・・

 

着物綿は布団屋さんであっても在庫を持っていなくて、お取り寄せで調達し、黒い繻子衿は数十メートル単位で購入しなくてはならないこともありまして、大島紬の生地を掛け襟にさせていただくことを提案し、そして、おおよその金額を伝えてから仕事に入らせていただいた次第です。

 

 

きもの再生・綿入れ伴天
きもの再生・綿入れ伴天

その大島紬から再生して綿入れ伴天が数日前に仕上がってまいりました。

 

きもの再生・綿入れ伴天
きもの再生・綿入れ伴天

お客様から送られてきた寸法通りに仕上げさせていただきました。

 

 

 

きもの再生・綿入れ伴天
きもの再生・綿入れ伴天

裄が着物幅より広いもので、肩で着物生地を繋いでいますが、見た目に分からないかと思っております。

 

 

 

きもの再生・綿入れ伴天
きもの再生・綿入れ伴天

寸法表に書いてあった前ポケットもお付けさせていただきました。

 

 

 

きもの再生・綿入れ伴天
きもの再生・綿入れ伴天

お客様に仕上がったことを連絡させていただくと、襟に紐を取り付けたいとのことで、最後にその仕事が残っていますが、とりあえずホットしております。

 

こんな感じで、昔は綿入れ伴天が問題なく縫えたのに、既製品が世の中に出回って仕立て師さんに綿入れ伴天の仕事が入らなくなったことが、いつの間には縫える人がいなくなってしまったのかもしれません。

 

技術や技は使わなければサビつくもので、今回のケースに限らず、和装業界には至る所でこのような現象が起きています。

 

ご相談をいただいたお客様のお役に立つことができたのではないかと思いますが、生地の素材で仕事の内容が少し変わることも頭に留めておいていてください。

 

まとまらない記事になりましたが、これで閉店とさせていただきます。

ではこれにて・・・
お休みなさい。

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