このご時世できもの専門店が少なくなっていまして、新規のお客様からいろんな相談をいただくことが多くなっています。
きものの見立ては勿論のこと、着付けの相談であったり、寸法直しやシミ抜きなどのお直し、子供きものの縫い上げや半衿の取り付けなど、地方ならではの相談をいただくことも少なくなく、呉服店さんとお取引がない方や、なくなった方には、便利屋さん的な存在になっているのではなないでしょうか?
頼りにされていると思うと嬉しいもので、「No」と言わない店でありたいと心掛けています。
そうした中でも、きもの専門店としての役割を果たすことができてセンスが問われる仕事といえば、きものの染め替えかと思っています。
派手になった色無地を年を重ねた年齢に合った色合に染め替えるとか、付下げの着物全体にダークな色を乗せて、派手さを抑えた付下げに作り替えるというお仕事は、やり直しが効かないので、とても責任の重たい仕事の一つとなっています。
昨年の年の瀬が迫っていたときのことです。
50才くらいの新規のお客様が椿柄の柄の付下げをお持ちになって、仕立て上がっている付下げを黒地の付下げに染め変えて欲しいとのご相談をいただきましてね~
その付下げがこちらになります。
淡いクリーム時の付下げを地色を黒地にして、朱色に違い椿を血赤珊瑚のような深い赤に変えて欲しいとのご相談でした。
となれば裏地の八掛の色も染め替えが必要で、染め替えの手順として、
❶ こちらの付下げを裏地も含めて洗い張りをして、シミがある箇所はシミ抜きをする。
❷ 模様をすべて糊伏せをして黒地に染め変えてから、赤い椿柄を一つ一つ色を深い赤に替えていく。
❸ 八掛も深い赤に染め替える。
❹ 染め替えが終ったらお客様の寸法に合わせた袷仕立てにする。
以上の仕事が必要となり、お見積もりを取って、年が明けてから連絡を入れるという段取りでお着物をお預かりすることに・・・
その後、染め替えと仕立て直しまでの料金をお伝えさせていただくと、思っていた以上にお値段がかかることが分かり、判断に迷うところがあったようでしたが、お客様はこの椿柄がとも気に入っていて、染め替えをした付下げに袖を通したいという気持ちが勝っていたみたいで、お仕事を承ることとなったのです。
そのことを受けて付下げのきもの再生の仕事が始まりました。
きもの再生に途中に、染め上がってきた付下げを見たのですが、赤い椿が朱色がから抜けきらずにいて、お客様にも確認をいただいてから、椿の色だけを修正し直すことに・・・
そして染替えの仕事を終えて仕立て直しをさせていただいた付下げが完成致しました。
クリーム地の付下げを黒地にビフォーアフターした付け下げがこちらです。
見事に生まれ変わった椿柄の付け下げで、お客様のご要望に添うことができたかと思っています。
お客様に染め上がったことを連絡を入れ、お客様の付け下げをブログやホームページで紹介させていただいてもいいかの確認を取って、ここに記事として取り上げさせていただきました。
赤い椿の色も微妙なさじ加減ながら朱の色を深い赤に変えることができました。
とても時間がかかりましたが、納得のいく仕事ができたように思います。
新規のお客様でしたが、私を信頼していただけたことに感謝しております。
ここまで大がかりな仕事をさせていただいたことがないので、ホームページにも使わせていただきたいと思っています。
本当にありがとうございました。
お客様の中でこのような着物の染め替えを望めれている方がいれば、いつでもご相談ください。
お客様の希望をお聞かせていただいて、お見積もりを取らせていただきます。
その上でご判断を仰ぎたいと考えているので、私の店でよければ連絡ください。
そして明日は、石川県和装振興会の事業として開く、第一回の薫風茶会の日です。
会場は中村記念美術館で五席設けられます。
和装振興会のメンバーは裏方として手伝いを頼まれていまして、会場に詰めていないとなりません。
なので明日は午後3時頃に店を開けることとなりそうです。
ご迷惑をお掛けしますがご理解をいただきますように・・・
ちなみに私は3席目の挨拶を頼まれていまして、そのことがとても負担になっている私です。
ではこれにて・・・
お休みなさい。