初めて店を覗かれたお客様から、お子さんが小学校に入学されるとのことで、入学式に色留袖を着たいと思っているのだが、その着物が入学式にふさわしいものなのかを見て欲しい。
着物一式と小物も持って来たので、足りないものがあれば買い足したいとのことでした。
まず先に色留袖を拝見させていただくと、お召しになられ様子がなく、しつけ糸が付いていました。
家紋が三つ入っていて、白い比翼(ひよく)も付いた正式な略礼装となる色留袖で着物柄も有職文様の品格のあるものです。
帯は金地の西陣袋帯で、長襦袢は白で半衿には白糸で刺繍されたものが付いていました。
お話を聞くと、お婆ちゃんが私のために作ってくれた着物で、この着物を着てひ孫と共に写した写真をお婆ちゃんに見せたいとのことでした。
着物のTPOとして、三つ紋で比翼付きの色留袖となると、結婚式の着物という意味合いが濃くなり、入学式にふさわしい装いとは言いにくいところがあります。
しかし式典を敬うとい視点から見れば正装としてふさわしい着物と言えます。
判断に迷うものがありましたが、他に着物を持っていないとのことだったので、お婆ちゃんが用意された着物を着られることをお勧めさせていただきました。
着物と帯に合わせて帯〆と帯揚げを用意されて、他の足りない足袋なの和装小物も準備されると、「着物を畳むこともできなくて、こうして相談できて良かった。これで安心!」と呟かれた姿が印象に残りました。
初めてとあって、店に寄るのに勇気がいったそうですが、着物を知らない方が着物を着ようとしたときの選択法として、呉服店を頼りにされるのは筋の通った話です。
しかし、お店によって接客法や装いの解釈も違うので、相談できる呉服店を選ぶことが難しくなっているのかもしれません。
そうした中でご相談をいただけたことに感謝申し上げたいと思っております。
入卒用の着物相談は今年に入って2件目と極めて少ない数ですが、どなたがお越しになられても気持ちよく着物が着れるアドバイスをさせていたけたらと考えています。
分からないことがあれば、何でもお話を聞きたいと思っているので気軽にご相談下さい。
お待ちしております。
さて今日は元気のいい着物コーディネートをしてみました。
普段着の装いです。
着物は赤みがかった西陣御召の着物で、それに合わせた帯やトートバッグが可愛いいでしょう。
特に帯地のレモン色に、差し色の赤の取り合わせが元気が良くてパワーを感じさせられます。
腹はこのな感じで、水牛の角で作った梅の帯留めを入れて季節感を出して楽しんでいただけたら、センスの良さに見る人の心を豊かにしてくれることでしょう。
周りを明るくするコーディネートかと思いますが、鉛色の空が続く日は求めて明るい表情をした帯や小物で、弾む思いを演出されてみるのも悪くないのでは・・・
躍動感がある帯を、静かな色合いの着物や無地感の着物に合わせていただけたら、気持も若くなることでしょう。
的を得た言葉で解説できませんでしたが、元気な娘に触れて元気のある店を作って行けたらと思っています。
色合いが持っているパワーを大切にしたいですね。
ではこれにて・・・
お休みなさい。