二日間の人間ドックを終えて、最後に医師から検査結果の報告があり、一つだけ注意されたのは胃の中のピロリ菌の除菌が必要とのことで、薬での治療を勧められました。
それ以外は問題がないとのことでまずは一安心。
この記事を書き始めた閉店間際に、40歳前後の女性が着物らしきものを脇に抱えて相談したいことがあると言って店内に入ってこられました。
お話を聞かせていただくと、6月1日にお勤めになっている会社で式典が執り行なわれるとのことで、着物を着ることになり、何を着ていいのか分からないので見て欲しいというのです。
持ち込まれたのは実の母親の若いときの着物と帯と長襦袢の3点。
拝見すると、着物は渋い朱赤の袷付下げ、帯はお太鼓柄の名古屋帯、そしてモス(毛100%)の長襦袢でした。
見た瞬間に返す言葉を失いましたが、それぞれに着物の状態を確認すると、付下げには袖と裾にシミがあり、帯にもお太鼓部分に茶色くなったシミが・・・
そしてモスの長襦袢にもシミがあり、着物との寸法もまったく合っていません。
初めてのお客様でもあり、気分を悪くしないように言葉を選びながら、間違いを正すと共に、着物に合わせる種類の帯は何であるのか、付下げに合わせる長襦袢はどのようなものがを、店の商品を見ていただきながら解説して、これでは着られないことをお話しさせていただきました。
するとお客様は、まだあるので見てくださいと、停めてある車に戻って持ってきたのは、草履やバック、帯締め帯揚、髪飾りや肌着や腰紐などの小物類でした。
どれも古いもので使えるものだとは言いにくいものでした。
私の話が呑み込めたみたいでしたが、次に言い始めたのは、お母さんとの体格はまったく同じで、タンスにはお母さんの着物がいっぱいあるから、もう一度調べて持って来るような話をされるのです。
お客様の考え方は間違っていないものの、お母様とお客様の知識では事がスムーズに運べるとは思えなくて、言葉を選びながら「選択肢の一つとして聞いてください。」と前置きをして、
改めて草履バッグを新調したとしても、装いは綺麗にまとまるとは思いにくく、今回は着物一式貸衣装で対応されるというのはいかがでしょう。
草履とバッグを買うお値段で借りられると思うので、私の店でよければお世話させていただきます。
お客様が用意されるのは足袋とかんざしだけで済みますし、余計な心配と時間を使わなくていいので、荷が軽くなるのではないでしょうか?
着物も爽やかな色の訪問着をレンタルされれば、自信を持って人前に立てるし、お褒めの言葉もいただけるにちがいありません。
貸衣装屋さんの担当者にお願いして、何枚か店の持って来てもらうことが出来るので、その見立てを私がさせていただきます。
お母様と一度ご相談されてみてください。
お母さんの着物で事を済ますのであれば、着物の着付けに必要な和装小物リストをコピーしてお渡しするので、それを見て小物を用意されてください。
時間が無いので早く行動に移してください。
そのようなことをお伝えさせていただいた次第です。
正直なところ、店として貸衣装の提案をしたくありませんでした。
何故なら、借りる事の簡単さ覚えて欲しくなかったからです。
なのにレンタルを勧めたのは、会社の記念式典で社員を代表して着物を着ることになったことを聞かされて、中途半端な着こなし方で出席して欲しくないと思う気持ちが働いたんですね~
お客様の判断を待つこととなりましたが、このような相談は良くあることで、着物ファンになっていただくための選択は何なのかを考えて対応するようにしています。
長い文になってしまいましたが、今日は素敵な夏帯を紹介させていただきます。
白地の帯芯を入れた場合の画像を映し出してますが、帯の素材はシースルーだと思ってください。
金で露芝と桧垣を描き、夏の草花を刺繍で描いたこだわりの一品です。
藍色や黒地の着物に合わせたらメリハリが効いて綺麗な装いになることでしょう。
簡単な解説になってしまってしまったことにペコリ。
着物相談の話しが長くなってしまって、今日はここまでとさせてください。
ではこれにて・・・
お休みなさい。