今日は加賀友禅作家・大久保謙一氏をお招きしての「よもやま話」の日。
加賀友禅のきものは地元であれば呉服店の展示会などで目に触れることはできるが、加賀友禅作家さんのお顔を見たり、お話を聞く機会はほとんどなくて、そんな場を設けることができないかと思って企画を組んだものです。
お客様と加賀友禅作家の間にある壁みたいなものを少しでも低くできないかと思って、大久保氏を紹介していただいたのですが、お客様に今回の企画をお伝えすると、すぐに定員が埋まりましてね~
その時に加賀友禅ファンは加賀友禅作家さんとの交流を持ちたいと思っていたことに気づかされました。
当初は午後に6名のお客様をお迎えして開催するつもりでいましたが、午前の部も設けて、合わせて13人の方と懇親を持たせていただくこととなりました。
こちらが加賀友禅作家の大久保謙一さんです。
とても話しやすい作家さんで、気どらず、素朴な話し方をされるか方で、作品を描く前の図案やスケッチブックなど、私たち呉服店さんも拝見することができない貴重な資料を持ってきてくださって、作品ができるまでのプロセスを聞かせていただくことができました。
その後、手放したくない作品を何枚かお持ちになり、スケッチを取った場所や描き方に工夫を凝らした話しも伺うことができて、1時間半という時間があっという間に過ぎたのではないかと思っております。
非売品とした作品を娘に羽織ってもらったりして、有意義な時間を共有できたのではないかと思っております。
ことらは午後の二部の様子です。
参加者の中に大久保さんの加賀友禅訪問着を30年近く前に手にされたお客様がいまして、そのきものを持ってご参加いただいた方がいましてね~
大久保氏さんは目の前でその訪問着を見て懐かしく思っていらっしゃいましたが、ご自身が描いた着物がこうして消費者に渡ってから拝見することがはとんどなくて、感激されたことを話していました。
まさに娘との再会だったのでしょう。
そのお客様は、「加賀友禅のきものは季節を物語っているからお洒落で価値がある。」と、加賀友禅の魅力を私に変わって話をしてくださいましてね~
加賀友禅はこうした根強いファンに支えられて今に至っているのかもしれません。
しかしコロナ禍で仕事が作家さんに回ってこなくなっていることも確かです。
そのような事態をいくらかで緩和できないかと思って取り上げた企画で、加賀友禅作家さんとお客様の間に入って、この店がどのような影響力をもたらしたのかを問いかければ、大久保さんとお客様の距離感を縮めるだけのものだったかもしれません。
それでも作り手の思いは一人一人の心に届いたのではないでしょうか?
時間が経ってから分かることかもしれませんが、「大久保さんに加賀友禅のきものを描いて欲しい」と、そんな相談が入ってくることを期待したいです。
そしてこのような機会をもう少し増やすことができたら、お客様の加賀友禅に対する見方が変わってくるのではないでしょうか?
その役割を担っているのが、消費者に最も近いところに立っている呉服店の仕事かと思っております。
こんな小さな店に大久保先生の力をお借りできたことに感謝しています。
ありがとうございました。
ではこれにて・・・
お休みなさい。