今回の長引くコロナ禍で、仕入先は新しい商品が作りにくくなっていて、きもの専門店さんにおいても積極的な店作りができているとは言いにくい昨今の着物業界になっているのではないでしょうか?
業界人として非常に寂しく思っていて、これまでと同じことをしていてはジリ貧になっていくことはが想像できます。
そのような危機感を数年前から持ち続けていて、何か新しいことができないかと、ずうっと思っていました。
そんな思いもありまして、オリジナル商品が作れるようチャレンジすることを忘れないようにして、牛首紬で染帯を作ったり、無地のような付下げを作ってみたり、2年近く前には小風呂敷からオーダーメイド小紋足袋を発表したこともあり、他にもいろいろ作らせていただきましたが、これらすべてが、他店との違いを明確にしたいと考えてのことでした。
その位置づけを高める切っ掛けとなったが、今回のクラウドファンディングで作らせていただいた「加賀染め足袋」で、物作りの面白さを教えていただいた気が致します。
このことが機会となり、店では幾つかの新商品作りを考えていまして、その試作品を作ろうとしているところです。
その一つとして、加賀小紋を染めていらっしゃる「坂口工房」へお邪魔して、明治、大正時代の古い型紙を使って帯が染められないかと相談してみることに・・・
その日が今日だったのです。
この坂口工房は坂口裕章氏が仕切っていまして、父である坂口幸市氏は病院で治療中だと聞いております。
裕章氏とお目にかかるのは二度目で、前もって準備していただいていた古代型を私が手にすると、裕章氏の説明が入ったりして私としては初めての体験でした。
坂口工房へ入った右の壁側には、古い型紙が積み上げられていて、その古代型は数百枚あると言っても可笑しくない量でした。
坂口さんは帯柄にふさわしいと思われる型紙を集めておいてくださって、私はその型紙を順番に手に取って、それを透かすように眺めては、帯に染めたらどうなるのだろう。
そのようなことを繰り返していると、坂口さんは見本で染めたという生地を板場の上に流してくれまして、染め上がりを見て判断させていただくこととしました。
何分にも初めてのことで焦点が合うまでに随分時間がかかりましたが、どうにか6点の古代型をセレクトすることができました。
ためしにその6柄を30㎝くらいの幅で染めていただいてから、その後の判断をさせていただくこととしましたが、次の提案があったのが、どのような色合で染めるかということです。
これが慣れていない私には難しくてね~
そして、そこに持ち出されたのが、江戸の色見本帳らしき物。
300色の色がその中にあるとのことで、中を開いてみると、
達筆の筆文字で色名が明記されていまして、そのレトロ感に観劇させられるところがありました。
こちらの見本帳から2色ばかり選んで、他の色も加えた4色~5色の色を使って、私が判断しやすい見本品を作っていただくこととしました。
その中で帯に染めたら面白いと思えるものがあれば、牛首紬の白生地で染めてみたいと考えています。
コストがかかるだけに慎重になるべきですが、果たしてどうなることでしょう。
私としては大冒険となる物作りになりますが、形はどうであれ、新しい物作りをしていくことがきもの専門店さんの役割であることに気づかされています。
それはコロナ禍が切っ掛けとなって教えてくれたことで、やり残していることがあることにも気づかされた機会でもありました。
どうなるかまったく分かりませんが、少なくとも楽しんで仕事ができているので喜ばないといけませんね。
読みにくい記事になっているかもしれませんが、これで終らせていただきます。
ではこれにて・・・
お休みなさい。