店には様々な相談が入ってまいります。
ひと昔前は、お着物のお見立て相談が多くありましたが、近年は寸法直しやシミ抜きとかカビ取りをお願いされることが多くなってきていて、お見立て相談が少なくなっていることに考えさせられるところがあります。
時代の流れだと言ってしまえばそれまでですが、きもの専門店が減少しているだけに、ここは踏ん張り時かと思います。
着物のお直し相談を受けることから、新しいきものファンへと結びつくことも考えられますし、敷居が高いと思っている方の認識を変えていく切っ掛けともなるので、お直しに関して、“出来ない”ど言ったことは、これまでに一度も無かったと思います。
確か9月の終り頃だったと思いますが、着物の丸洗いと帯のシミ抜きをして欲しいと言って、店に持ち込まれたお客様がいましてね~
【カビが出てしまった爪掻き(つめかき)綴れ帯】
丸洗いは問題なく承ることが出来ましたが、持ち込まれた綴れ帯が全体に茶褐色の斑点が出ていましてね~
その時の画像ですが、茶色の汚れのような斑点が帯地に出ていることが見て取れます。
全体に広がる斑点は「カビ」で、帯地に現われた場合そのカビ取り除くことはほとんど無理と言っても過言ではありません。
結婚前に作ってもらった爪織りの綴れ帯で高額な帯だっただけに、娘に譲りたいと思っても、この状態では締めることができないので、なんとして欲しいことを頼まれましてね~
【カビの色が隠れる色で染め替える】
そこで、カビの色が分からなくなる色で染め替える方法があり、後日、地色を染る色の提案をさせていただきたくて、何色か色を用意して、その中からお客様に色を選んでいただくことに・・・。
その色見本を8色ばかり用意をして、お客様に選んでいただくことに・・・
染める色が浅いと斑点が残るかもしれませんし、濃いと斑点が消えても、帯地のフォーマル感は失われ地味になるかもしれません。
その色見本は画像に写っている小さなもので、私からのアドバイスを参考に、確か下の段の左端を希望されていたかと記憶しています。
【ビフォーアフター・染め替えが終った綴れ帯】
その染め替えをした綴れ帯が先日染め上がって来たんですね~
素敵な仕上がりになったかと思っていますが、よく見るとかすかに斑点が残っているのが分かります。
その仕上がりをお客様に確認していただいて、もう少し濃い色で染めることも出来ることをお話すると、これ以上、帯地の色をこれ以上濃くしたくないとの事だったので、これで仕立て直しさせていただくことに・・・。
これまでにカビが出た綴れ帯のお直し相談を何件もいただいたことがありますが、実際に染め替えをさせていただいたのは今回が始めて。
時間が経った物には危険が潜んでいることもあって不安がありました、
お客様には、危険が伴うことをお話をさせていただいてお仕事をさせていただきましたが、上手く行って本当に良かったと思っています。
こうした経験が店の価値を高めているとしたら、怖がらずにチャレンジすることがきもの専門店としの基礎を作って行くのでしょう。
貴重な勉強をさせていただくことができて感謝しています。
ありがとうございました、
これからもひるまず、着物に関したことことであれば何でも相談を賜りたいと思っています。
どれでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。