私の店の夏商戦は「浴衣商戦」といえるところがあります。
どうしてこんなにも浴衣にこだわるかといいますと、それは夏祭りや花火大会など、懐かしい日本の風情に触れてみたいと考える方が多くいらっしゃって、そこに私たち呉服店の出番があり、浴衣という着物のすそ野が広がるということは、業界の大きなビジネスチャンスに繋がるからです。
当然のことながら大きなマーケットに量販店なども参入し、競合店は呉服店というよりかは異業種になる昨今ですが、取り巻く環境がどのように変化しょうとも呉服店としての意地を見せなくてはなりません。
そこでどのようにして戦略を立てるかですが、大きなポイントは2つあると思っていて、一つは、県内外に店の存在を知っていただくこと。
もう一つは、他店との違いを理解していただくことです。
いずれも小規模経営の店にはハードルの高いものがありますが、ここを克服していないと未来はないと言っても過言ではありません。
私のブログを見て下さっている人が少ないとはいえ、ここを出発店にして、この店を知っていただく機会になれなと、プロの目線から浴衣選びのアドバイスをさせていただきたいと思います。
◆既製品と反物の違い
既製品はすぐに着られて安価な商品が多いのが特徴です。
素材や仕立て方も含めて安価を追求していて点がご予算のない方には強い味方と言えるでしょう。
一方で、着る人の体型に全てが当てはまるものではなく、寸法が合わないというデメリットやゆかた生地が薄いという不満が残ることもあります。
反物から仕立てる浴衣は、採寸をしてから体型に合った丁寧な仕立てを致します。
着やすさ着心地を追求していて、その分、お仕立てにかかる日数とお仕立て代が加わり、既製品と比較したらお高くつきますが、すべての面で着物としての考え方が息づくもので、素材や染も吟味されたものが多いとお考え下さい。
◆着やすい素材とお手入れが簡単な素材
ゆかたの素材で体に馴染みやすいのは綿や麻などの天然素材で、汗をかいたときの肌触りが体に優しいのが特徴ですが、着終わった後の洗濯が自宅でしにくいところあり、手軽にお洗濯ができることを優先されるようであれば、「セオ・アルファー」というポリエステル素材のゆかたがお勧めです。
一方でセオは着装時に熱が溜まることや生地が滑ることが難点かと思えます。
着やすさや清々しさを大事にされたいとお考えでしたら天然素材をお勧めさせていただきたいです。
◆体型とゆかた寸法の関係
ゆかたの丈(長さ)は最低でも身長の長さが必要とされます。それ以下だと“おはしょり”が作りにくく、着崩れを起こすことが考えられます。
また、身長よりのも10㎝以上もゆかたが長いと着付けに工夫が必要で、着やすさやスッキリした着こなし方から縁遠くなることがあります。
身幅は背骨が浴衣の中心となり、掛け合わせたときに太ももの外側までくれば身幅が合っているとお考え下さい。
足りなければ身幅が狭く、極端にはみ出すようであれば身幅が広いと考えられます。
身幅の狭い浴衣は、腰をかけたときに前巾が、‟ハの字“になるのでご注意ください。
寸法が合っていないとしたら、反物から体型に合った寸法でお仕立てされることをお勧めします。
◆裄の長さ(腕首までの長さ)
最近のお客様は長めの裄を好まれますが、既製品は身幅とのバランスもあり、裄が短いと思われるかもしれません。ところがあるかもしれません。背の高い人や体格のある方は反物で仕立てると気持ちよく着れるでしょう。
◆見立てのセンスは経験豊富なプロが間違いない
ゆかた選びはご予算や体型に合ったものかを吟味して選ぶことはとても重要なことですが、ご自身のお顔映りやコーディネートとなると一人では判断できないのが着物というものです。
ゆかたであっても、着慣れない方にはセンスの良さを見分けることは難しく、経験豊富なプロの見立てに頼ることがあっていいと思います。
その見分け方は、良い悪いを的確に分かりやすくアドバイスされる方であれば、安心を買うことができるのではないでしょうか?
何を見ても、‟そてもいいでしょう!お勧めします”の答えしか返ってこない定員さんは、見立てが出来ない人だと解釈していいと思います。
そのようなお店では、ゆかた選びは危険と考えてください。
ゆかた選びは呉服店に頼らなくても選べる時代になっていますが、セルフよりも言葉が変わっる店が間違いを回避できるかと思うので、そんな店を選んで素敵な浴衣をチョイスしてください。
そして着心地のいいセンスのいい浴衣でひと夏の体験を素敵な人と過ごせたら、とてもハッピーじゃないかな~
回りくどい解説になっているかもしれませんが、ゆかた選びの参考となる記事であったなら幸せに思います。
それではこれにて・・・
お休みなさい。