一枚の振袖が心を繋いだ縁

 今日は機関銃を手にして戦場に飛び出したかのような気ぜわしい一日でした。
仕事を戦場のように例えるのは適当でないかもしれませんが、湧き水のように仕事が噴出している気がします。
気持ちが落ち着いたのは陽が沈みかけた頃で、ゆったりした気分でコーヒーを飲みながら一日を振り返っていると、若い女性が紙袋を提げて訪ねて来ました。
その女性は7・8年前、大学生だったころに振袖の見立てをさせていただいたお客様でした。
とても印象に残っていて、アルバイトをして振袖を手にされた方です。
学生が振袖を買うために、必死でアルバイトをして振袖を手にしようとしている姿に心を打たれ、ご予算に合う振袖をコーディネートさせていただいたのですが、その事実を納品してから親が知ることとなり、母親が店に来て、「娘を信頼して振袖を見立ててくれてありがとう」と、涙を流されて感謝された覚えがあります。
そのことがご縁で、忘れたころに店に遊びに来るようになり、彼女の夢を聞かせていただく関係となっていました。
その彼女が素敵な彼氏を見つけ、明日、彼氏の住む能登へ行かれるそうで、結婚式の前撮りの写真を見て欲しいと菓子箱を持って来てくれたんですね~
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嫁ぎ先はNHKの朝の連続テレビ小説「まれ」の舞台になっている輪島市の一つ手前の漁村へ嫁がれるそうです。
私もどきに、その報告に来てくれるなんて嬉しいではありませんか?

自分で買った振袖がとても評判がよて何度も着た話もしてくれましたが、見立てをさせていただいた着物が彼女と私の信頼を深くしたのかもしれません。
夢多き女性で、「まれ」と重なるところがあって、彼女の未来を応援したくなる魅力的な女性です。
苦労することもあるでしょうが、二人で同じ方向を向いて幸せを手にして欲しいと願っております。
次は旦那を連れて遊びに来ると話していました。
「一枚の着物が心を繋いだ縁」、ここに私が目指したい店の姿があります。
彼女は、そのことを教えてくれた大切なお客様で、生涯忘れることはないでしょう。
また一つ、店の歴史を刻む出会いへと進化しました。
温かい心に触れることができて幸せに思います。
それではこれにて・・・
お休みなさい。