母が差し出した拳の中に・・・涙が溢れました

 朝起きると、娘が台所でお弁当を作っていました。

昨夜、彼氏と九谷茶碗祭りへ行くようなことを言っていましたが、二人で食べるお昼のお弁当みたいです。

 

朝日が差し込ぬ朝、今日も絶好の行楽日和になることでしょう・・・

楽しい一日になることを願い、娘を送り出してから私の一日が始まりました。

 

久しぶりに休みを取った私は、ナマケモノモード。

 

 

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最初は映画を鑑賞し、それから懐かしいレコードをかけて音楽鑑賞です。

 

井上陽水、ホイットニー・ヒューストン、そしてレゲイ音楽を鳴らしながら午前中をゆっくり過ごし、外出の準備。

 

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行先は福井県。

母親の顔を見に行くことが目的です。

 

一昨年まで、GWになると我が家まで遊びに来ていたのですが、年と共にその気力も薄れてしまったみたいで、母が元気にしているか知りたくてね~

 

母の目は視力を失いつつあり、耳も遠くなり電話で会話をすることが難しく、気になる存在となっています。

 

それに、母の日も近いことだし、先日品揃えした和柄Tシャツや、店の商品で使ってもらえそうな物を選んでもらおうかと思いましてね~

 

そんな想いもあって車を走らせました。

 

車を運転しながら、母の日はカーネーションだが、視覚が衰えている母には嗅覚で感じ取ってもらえる花がいいと考え、実家の近くの花屋さんでユリの花を買ってプレゼントすることにしました。

 

花屋さんを探すのに随分苦労しましたが、ショッピングセンターの花屋さんでユリを手にして実家に着くと、用意した風呂敷包が車の中にありません。

 

シマッタ・・・

車に持ち込むのを忘れてしまったのか~

ここで初めて気づくとは、間抜けな話しです。

 

仕方ありません、申し訳ないが母の日をユリに託すしかありません。

 

ユリを持って入ると、その匂いに母が気づきました。

「花買ってきたの・・・」

それが母の第一声でした。

 

用意したプレゼントを忘れてきたことを言い訳しながら、ユリを花器に入れると、

母は、「玄関に花がないから玄関に置いたら・・・」

 

私は、この香りを母にプレゼントしたいことを話すと、私の気持ちを受け取ってくれ、生活の場となっている茶の間に置くとこに・・・

 

母は顔色も良く、元気そうにしていました。

大きな声を出さないと会話になりませんが、その母が、最近物忘れがひどくて歯がゆい気持ちを私に打ち明けます。

 

そこで私は、年を取ると、皆、物忘れが激しくなるが普通だし、そのことで、心を痛めない方が体にもいいから気にしない方がいいよ・・・

 

これまで私たち(兄弟)は、母ちゃんに数え切れないほどのわがままを言ってきたし、苦労もかけてきた。

だからこれからは、母ちゃんが、自分たちにわがままをいっぱ言う番だから、遠慮しないで欲しい・・・

 

身の回りの世話をしている弟の前で、無責任なことを話したかもしれないが、私たちもそうなることを約束されているのかもしれません。

それを責めたりしたら、母が可哀そうです。

 

気休めかもしれませんが、心まで病んで欲しくない気持ちが母との会話にありました。

 

いっちゃんはどうしている・・・(長女のこよです)

がずは家にお金を入れていか?(長男のことです)

萌は新婚生活をうまくやっているか?(次女のことです)

 

孫のことが気になるのか、私たちの家族のことを聞きたがります。

大きな声で話をしなくてはなりませんが、安心してくれたことでしょう。

 

そんな会話の途中に、目の前にそっと、握りしめた拳を差し出したのです。

親指と人差し指の間から紙幣が顔を覗かせていました。

 

その場には妹もいたのですが、兄弟の気づかれないように、私に小遣いを手渡したいという動作だったのです。

母の気持ちを察し、黙って手のひらに握りしめ何も言わずにポケットにしまいましたが、実家を後にし、車に中で母の気持ちを確かめると、紙幣束ね1/4に折りたたんだ一万円札でした。

 

長男として何もしてあげていないのに、たまにしか母ちゃんの顔を見に来ないのに・・・

生活に困っている訳でもないのに・・・

 

私が来る事を知って、お金を用意していたかと思うと涙が溢れます。

 

「ありがとう母ちゃん・・・」

 

母は83歳になります。

いつまでも元気でいてください。

 

私は母ちゃんの子供で良かった。

 小さくなった拳のことを思うと、涙が止まりません。 

 

 

 

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そして、店に戻ると、裏の出入口に置いてある縁台の上に、母に選んでもらいたいと包んだ風呂敷包みがありました。

 

置き忘れたプレゼント。

 どうしょう・・・

この包みを見ると、ありがとうの気持ちが膨れ上がります。

 

 

こうして私の一日が終わりました。

忘れることができない日になったかもしれません。

 

それではこれにて・・・

お休みなさい。