長板本染中形の浴衣とは・・・

 今年一番の暑さではなかったでしょうか?
車の中は35度越えで、エアコンを入れてしまいました。
夕方に陣中見舞いだと言って缶ビールを持って来てくださったお客様がいらっしゃいましたが、冷えたビールが食卓に合う季節になった気がします。
しばらくこの暑さが続くみたいで、浴衣選びに目を向けられるのではないかと読んでいますが、雑誌に今年仕入れた浴衣が掲載されていたものを目にしたもので、今日はそれを紹介してみましょう。

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アラレにデザイン化された花模様の綿ちりめん浴衣です。
藍染めで染められた「長板本染中形」というもので、江戸時代から伝わる技法で作られた正統派の浴衣って感じかな~
長板本染中形と言っても、理解不能の方が多いかと思うところがあるので、解るは範囲で説明を加えてみたいと思います。

長板とは染める時に使う道具で、長さおよそ3間半(約6.50㎝)の縦の一枚板に張った生地に、小紋よりは大きめの模様が彫られた中位の大きさの、約40㎝角の型紙を用いて型付けをし、藍がめで染めた浴衣を「長板中形」と呼びます。
補足しますと、中形とは浴衣のことを指すようで、本来は小紋・中形・大紋というように、模様の大小を表す言葉だったそうです。
私たちは小紋柄の着物を見て、大きな柄も小さな柄もすべて小紋柄と呼ぶようになっていて、馴染みのない単語に焦点が合わなくなっていますが、江戸時代になって銭湯が普及するにつれ、湯上りに中型模様の木綿のきものを着る人が多くなり、浴衣の代名詞として中形の名が通用するようになったとか・・・
模様が彫られた40㎝ほどの型紙を板に張り付けられた生地に置いて、色が染まらないように糊(のり)で防染し、模様のズレが起きないように順番に型紙をずらし、藍がめで染める準備を整えます。
その作業も表と裏の両面に手を加えることで、初めて「長板中形」と呼ばれる商品に仕上がるそうです。
つなわち、伝統的な技で染められた浴衣と呼びのにふさわしい商品と言えるでしょう。
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店では夏着物の提案をしていますが、単純な模様と藍の単色が着物としての本質の味をかもしだしているのではないでしょうか?
市場に少なくなりつつある商品だけに、伝えて行きたい浴衣地です。
この商品は竺仙さんから出されている品で、価格は73,400となります。
今日、友達の家を尋ねてみると、奥さんから、すい臓癌で明日手術をすることを聞かされ、愕然とさせられました。
「あんなに元気だったのにどうして・・・」、そのことが頭から離れないでいます。
そんな折に、夕方に差し入れがあったお客様と世間話をしている間に料理の話しになりましてね~
そうめんやお蕎麦の話しから野菜の話しになった訳ですが、食生活が以前と変わっただけに、しょうがないで済まされない現実に気づかされています。
なにげなく踏みしめてきた足跡を見直す時が来たのかもしれませんね。
それではこれにて・・・
お休みなさい。