少なくなった着物姿・そしてシルクウールでおしゃれな男物をコーディネート

 今日はメッキリ少なくなった着物姿の話しです。
私が着物業界に入った40年近く前の話しになりますが、当時の普段着といえばウールで、年末近くになると初詣に着る着物がよく動いたものです。
その多くが着物と羽織が一対になったウールのアンサンブルで、この時期になると年末納めの仕立ての段取りに追われていたことを覚えています。
年末まで一生懸命仕事をして、お正月の三が日はゆっくり家庭で過ごす。その間は地域の商店も休んでいて、初詣はお正月の過ごし方だったように思います。
初詣の装いも今とは比べものにならないくらいに着物姿が多く、着物で生活をリセットしていたかのようでした。
男性の着物姿も多く、男女のカップル姿はとても微笑ましいものがありました。
そのような日本人ならではの文化を懐かしむ昨今ですが、願わくば、もう一度、当時のお正月の風景を取り戻したい。
そのようなことを思っています。
しかし、着物から離れてしまった生活は しだいに作り手の仕事を奪い、当時、溢れるようにあったウールの着物に至っては、見る影もないくらいに姿を消してしまいました。
呉服店さんも普段着の着物の取り扱いを諦めてしまったのか、フォーマルに片寄った品揃えの店ばかりで、一部のきもの専門店を除いては、生活や季節に適応した商品を揃えていないのが現状です。
そして私たちは「着物が売れない」と、呟くのです。
業界が想像する力を失っていて、その背景には、着物初心者に優しい環境でなくなってしまっているのではないか・・・?
そのようなことを考えています。
このままでは着物や帯、和装の小物も含め、日常に密接した装いが消えていきます。
実際に、いろんな専門分野の仕入れ先と話をしていて、作れなくなったことを知らされることが多くなってきていて、その度に心が痛みます。
そのこともあって、再びウールを初売りに特集することを決めました。
しかし現状はとても厳しいものがあり、作っている先がほとんどありません。
何社か探し当てたものの、新しいウールの世界を披露できるか心配でなりません。
そこで今日は店が準備したウールの着物の中から、男物の着こなしを紹介したいと思います。
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それがこの映像です。
商品はシルクウールで、着物を墨色に細い縞が藍色で入ったものに、墨色の縞が荒目に入った白っぽい着物地を長羽織としてコーディネート。

初詣の装いを考えると時雨草履が必要かと思い、フードが付いた草履を合わせてみました。
昔はアンサンブルとなると、同じ模様で同じ色でしたが、おしゃれ感を感じることが出来なくて、色柄を変えたコーディネート提案です。
どうでしょう・・・
なかなか行けると思いませんか?
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例えば着物と羽織を反対にして、羽織を濃くして組み合わせてもいいかもしれませんね。
個人的には羽織が白っぽい方が小粋で好きですがね~
これに長襦袢と半衿、羽織紐・足袋が揃えば、新年の装いが完成致します。
概算で、映像に映るシルクウールを着物と羽織2点のお仕立て代を加え、角帯・時雨草履も入ると、お引き渡し価格は10万円位になるかと思います。
この価格で着物のおしゃれを楽しめるとしたら、着物を着てみたくなるのでは・・・
とにかく何事もチャレンジで新しい市場を見つけ出すためにも、これまでと違う取り組みが求められている気がします。
そして私たち着物屋が、生活の密着したきもの提案をしていかないと未来は来ないと、私は考えています。
たった一人の想いでは何も変えられないかもしれませんがもう一度努力してみます。
明日は北陸に雪が積もるということで雛人形展のお客様の足が心配になりますが、この天気も何かのご縁だと思って最後まで頑張りたいと思っています。
それではこれにて閉店です。
お休みなさい。

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