お天気が昨日とは一転して、風がうなり台風が上陸したかのような一日でお客様の少ない一日でした。
その一方で、数件の京都の仕入れ先が今年最後のご挨拶と初売りの案内に来ていて、担当者から和装業界の近況を聞くことができました。
明るいニュースが少ないみたいで、どこも苦労していることが伝わってまいります。
特に作り手の年齢が70歳近い人ばかりで、年金をもらいながら仕事を続けている状態で後継者も育っていないとか・・・
そのことを詳しく尋ねてみると、以前は後継者がいたが仕事が少なくなっていることから、業界を離れていった人が少なくないそうです。
ここ数年で、クオリティーの高い商品が作れなくことに危機感を持っていて、伝統の技が高齢者の人たちによって支えられているなんて、深く知ることもなく、不安な気持ちにさせられた次第です。
一方で、大量生産の安物は市場にいっぱい溢れかえっているいて、それは価格競争の対象品になっていることもあって、それらを扱う店とクオリティーの高い商品を追いかける店との二極化の構図がはっきりしてきたことも話してくれました。
店作りを考えていくうえで、どちらを選択した方が着物愛好家に指示していただけるかですが、どちらもいばらの道と言えるかもしれません。
たまたま朝のワイドショーを見ていたら、引き込み商法の折込チラシが話題に採り上げられていて、チラシに驚く割引価格を書き入れておりながら、その商品が店頭になかったり、先着100人と表示していても、100点の商品を用意していないなど、お客様を呼び込むために意図的に作られたチラシがあるそうです。
和装業界の二極化の話とは質の違う話ですが、呉服店離れが進む中でこのような引き込み商法もありがちで、ここに偽られた商品が存在しているとしたら美学の世界からかけ離れたものになります。
数字を取ることを優先するのか、着物ファンと共に生きていくのかは経営者の考え方ですが、その以前の問題として、仕入れ先の話は業界の基礎を揺るがすものだっただけに穏やかではありませんでした。
新しい取り組みや新しい商材が採り上げられる時代になっていますが、日本の伝統文化に関わる川上に人たちは違った見方をしているこを気に留めておかなくてはいけませんね。
難しい話はここまでにして、私が美しいと思う品を紹介してみたいと思います。
それは白地の紬素材に刺繍されて桜模様の帯です。
個人的に立体感のある品が好きで、4月の卯月展に刺繍で模様を浮かび上がらせた商品を特集したいと考えていまして、その事を見据えて新たに用意した品です。
自己満足かもしれませんが素敵でしょ・・・
このような感じでコーディネートしてみると、ひと固まりとなった帯の模様が際立って、着物美人が想像できるかと思います。
入卒用として、色無地や無地風小紋にあわせても素敵でしょうね~
腹はこの感じで刺繍が入っています。
柔らかな色合いの装いにスパイシーな色の帯〆で、おしゃれを表現してもよろしいですし、
入卒用の装いにしてみたければ、桜色の帯〆を入れて上品にまとめても綺麗かと思っております。
帯〆や帯揚げの色の入れ方で年代層も変えられる面白味を秘めた帯で、着物の美しさを味わっていただけることでしょう・・・
こだわりを持って職先が作った商品であることも付け加えておきたいと思います。
言葉が少ないかもしれませんが、着物愛好家には心に響くものがあるのではないでしょうか?
最後に和雑貨コーナーを少し模様替えをして、お正月を演出。
お気に入りのディスプレーだったもので、ここにアップしてみました。
そして、前日お客様から送っていただいた林檎を馴染みのお客様にお分けしたのですが、そのお客様が店にお越しになられて、美味しい林檎だったと言っていました。
取りあえずご報告しておきます。
ありがとうございました。
それではこれにて・・・
お休みなさい。