着物の裄を出しをして欲しいとのご相談に噛み合わない価値観に心が痛みました

   店では着物の縫い直しや汚れ落としなどのきもの再生サービスを承っていますが、近年ご相談がよく入ってくるのがタンスに眠る着物の再利用です。

その相談の中で最も多いのが、母親の着物をご自身が着たいとか、お嫁に持ってきた着物を娘に着せたいという相談です。

そこで問題となるのが、着たい人の寸法に合っていないことや、汚れやカビが出ていて何らかの加工を加えないと着れないケースが多くあることです。

そのようなご相談をいただくのは着物初心者の方が多いの訳ですが、お直しを簡単に思っていらっしゃる人が多くて、どこまで手を加えたらいいのかの説明に苦労させられるものがあります。

いろんなケースがありますが、今日もお母さんの着物を娘さんに着せたいと、腕の長さを長くして欲しいとのご相談がありました。

今日はその事を話題にさせていただきます。

初めて店を訪ねてこられた近隣の方が、娘さんに自分の着物を結婚式の披露宴に着せたいということでご相談を受けたものでした。

でしたが、ご本人を見ていないもので、娘さんにも来ていただいて着物と長襦袢の状態を確認してから、どのようなお直しが必要なのかの説明させていただくことになりました。

そして数時間後にお嬢様とご一緒に附下と長襦袢を2枚お持ちになり再来店。

お嬢様はお母さんより身長が9cmほど高くふくよかな体格をしていて、まず先にお持ちになられた品を見てみると、長襦袢が2枚ともウールの着物に合わせる小紋柄のピンク色した襦袢でした。

これはNGだと思ったのですが、状態を確認しているときに、「附下を作った時に合わせて作った襦袢なんです。」との一言。

しかし、附下との寸法が合っていません。

その時、この方は着物のことが解らない方だと察知しました。となれば、言葉の使い方を気をつけなければなりません。

次に長襦袢をお嬢様に着ていただくと、肩の厚みもありまして10cm以上短いものでした。

そこでお母さんが一言、「下に着るものだから大丈夫でしょ・・・」

返す言葉に戸惑いましたが、伝えておくべきことが必要だと思うところがありまして、

「本来なら、附下には このような長襦袢を合わせるものではないんですよ・・・。できればピンク系の無地かボカシのものを合わせていただいけた方がよろしいのですが・・・」

そしてお持ちになられた附下の寸法を測ってみると、明らかにお嬢様の身幅に合うものではなく身丈も足りないものでした。

そのことに気づいていただけたらと思って、お嬢様に来ていただいて、おはしょり(たくし上げ)を作り胸板も厚みがあることも問題であることをお話させていただくと、

「ブラをしなければいいんだ・・・」と、お嬢様が一言。

そこで私は、「着物というものは電信柱のような状態で着ることがベターなので、胸の膨らみを押さえることが必要なんですよ。裄を4cm以上出すことは、直した縫い目の傾斜もきつくなり、無駄なところにシワが入る恐れもあり縫い直しが必要ですよ!」

身幅に対する縫い目の傾斜がどのようなものなのかを着物を広げて説明させていただいたのですが、コストをかけたくない様子で、私の話を呑み込めるものではなかったみたいです。

「腕を長さを出すだけではダメなんですか?」と、語尾を強くして問いかけるものがあり、現状を理解していただいたうえで判断をしていただきたかったのですが私の言葉が足りなかったのでしょう。

そこで、2点の筋消しと裄出し(腕の長さを長くすること)そして長襦袢の寸法直しのコストも含めて1万円を超えるものであることと、長襦袢の衿芯がクタクタになっているので、「衿芯」を変えて、衿が動きにくい「衣紋抜き」というものを取り付け、そして着物の「たたみシワ」まで直されておかれた方がいいことを申し上げると・・・

私からの提案が疑わしいと思われたのか、「このシワはアイロンで取れないものなんですか?」

そこで私は、「長年、この状態でシワが入ったものは家庭用のアイロンでは取れないものなんですよ・・・」

他にも問題点があり個所を簡単に説明を入れ、新しい半衿を加えて、マックス2万円を超えるものではないことを申し上げると、その金額に驚かれたご様子でした。

このような場合、見えないところに危険が潜んでいることが多く、危険料金を含んだ金額としてマックスの金額を申し上げるようにしているのですが、納得していただけるものではなかったみたいです。

信頼関係が培われていないと、お起きうるケースの典型的な例かと思っていますが、このような相談は数えきれないほど多くありまして、着物に対する価値観の薄い方には店からの提案を疑わしく思われる人が少ない感じが致します。

着物のお直しってお客様が考えている以上に複雑で、それもシルクという高価なもので、受ける側としてはズボンの丈を直すような訳にいかないことをご理解ください。

ましてや、問題が起きれば受けた側の責任です。

今回のお客様は、綺麗な装いに気を配る方ではないのでしょう。

その場がしのげればいいものと考えていて、単にコストを重要視されていたが痛いほど判るものでしたが、お客様のお気持ちにお応えできなかったことをお詫び申し上げたいと思っております。

おしゃれな装いを提供する店としてはとても辛いものがあり、呉服店が周りに少ないこともあって、着物の振興に少しでもお役に立ちたいと思っているのですが、店とお客様の気持ちが噛み合わない現実に心が痛みます。

着物って、いつからこうなってしまったのでしょう・・・

呉服店の信頼はどこに行ってしまったのでしょうか?

私の配慮が足りないと言ってしまえばそれまでですが、もう少しきもの雑誌などを見て勉強していただきたいものです。

今回の着地点は、洋服で出席されることにされたみたいですが、後味が悪くて複雑な感情が交差するものがありました。

呉服店が少なくなり着物のお直しの需要がある以上は窓口を開けてお待ちしたいと考えているので、その時は、私の店に下駄を預ける気持ちで相談をいただけると物事がスムーズに運ぶと思うのですが・・・

折しも春号の美しいキモノやきものサロンが発売になりました。

この雑誌を見て着物に対する憧れを持ち、おしゃれする方が増えることを片方で願う私でした。

最後に次女がこのメッセージを残していったもので一読ください。

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それでは、今日はこれにて・・・
お休みなさい。

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