私と二人の担当者が想い描く「和装業界の三者三様の考え方」

   インターネットの普及や生活様式の変化は私たちの和装業界を苦しめていて、地域で営む呉服店が品揃えをして、ご来店されたお客様に商品をお勧めするという、日々のシンプルな商売方法が通用しなくなっていることを、店に来ていた仕入れ先が話していました。

この現実は業界人から視た目線で、お客様の目線からすると不満に思うことが数多くあるからで、シンプルな商売の関係性を拒む要因になっているとも考えられます。

一方で、お客様参加型のきものファションショーで成果を収めている呉服店の話を聞かせてくれたのですが、店の規模も社員数も私の店とは比較にならず、家業店でできるような話ではありませんでした。

おそらく担当者は事を起こすことの意味を私に伝えたかったのでしょう。

また、別の仕入れ先も店に来ていて、家業店で新しい分野にチャレンジして業績を伸ばしたという事例は一軒もなく、細かな仕事でもコツコツ積み重ね、生き残った店は勝ちなんだと呟く熟年の担当者。

現状は呑み込めても、どちらの担当者の考え方も間違っていなく考えさせられるものがありました。

先の担当者は、着物を着るという事があるから着物を買おうとする行為が働くことを説いていたように思えるのですが、その事を次から次へと事を起こそうとするとネタも経費も多く必要となります。

継続性を考えると、どこかでショートすることも考えられますが、着る場を設けるということはとても大切なことだと思います。

しかし、それも限度があるのではないでしょうか?

熟年の担当者は、新しい分野の投資は控えて、ひとつのことを誠実に続けていくことが生き残れる秘訣であることを話していて、この考え方にも納得できるものがありました。

しかし、着物でおしゃれをしたいという愛好家はネットで情報を集めていて、その受け皿を考えた店作りの発想は何処にもなくて私が目指すものとは異なるものがありました。

ここに三者三様の考え方があり、どの道を選択してもいばらの道であることは確かで、信じれることに力を注ぐことしかないのではないでしょうか?

それが店の個性だと思っています。

着物って、コーディネートが決まればおしゃれが輝くもので、心が満たされるものがあります。

その価値にお金を使う人がいて、その方々に応えられる店を目指したいです。

着物を知らない年代層が増える中で、ご理解をいただけることの難しさを痛感させられていますが、それでも諦めないで初心者に寄り添い、努力を積み重ね、着物の魅力を伝えていくことが私たちの使命だと思っています。

何が正解なのか経験を積んでも動き続ける変化の中で見定めることなんてできず、企画力も大切なことですし、固定客に親切な対応をしていくことも怠ってはなりませんが、ネット社会が加速度を増して進む中においては、その対応を無視できないところまで来ています。

この年で、この店の資本力でできることなんて知れていますが、着物に対する情熱だけは他の人に負けたくありませんし、もっともっとおしゃれにこだわれる店であれたなら、人生を捧げた価値も生まれるものだと信じて止みません。

これって負け惜しみなのかな~

何気ない二人の問いかけは、私の心を掻き立てるものがありました。

それにしても、ネットについていくことってこんなに大変なことだとは、続けてみて教えられているところです。

それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。

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