着物の「丸洗い」と「洗い張り」を或るお客様の相談と共に解説させていただきます

   午後の遅い時間帯から人の出入りの多い一日で忙しくしていました。

取り立てて変わった出来事があった訳ではありませんが、今週の月曜日に新規のお客様が結婚式に着装される着物一式と和装小物をお持ちになられて、足りないものがあれば教えて欲しいと相談にお越しになられた着物初心者の方が尋ねてこられました。

その着物はお母様の若かりし頃の手描き友禅附下で、まず先に着物寸法が合っているかを確認させていただくと、長襦袢と着物の肩幅と袖幅の寸法が合っていません。

長襦袢の裄が着物に対して極端に短く襦袢丈は3㎝近く長いもので、袋帯は折りシワが入り、お太鼓にそのシワが出るものでした。

そして附下はシミもなく綺麗な状態でしたが、裏地の胴裏が白から茶色に変色していて、着装日をお聞きすると、今週の土曜日だというのです。

和装小物を見せていていただくと、足りないものはいくつかありましたが、帯〆帯揚げの種類と色合いが附下に合うものではありません。

過去にこのような問題を抱えた相談に対して正直にお話をさせていただくと、気分を害される方が少なく、どこまでお話をしたらいいのかを迷うものがありましたが、一つ一つ丁寧に説明すると、「この着物を着ない方がいいのでしょうか?」と、問いかけられましてね~

その表情から着たいと思っていらっしゃることが見て取れました。

しかしお直しをするにしても時間が足りません。

そこで、着物の裏地に当たる胴裏の変色はそのままにして、長襦袢の寸法直しと帯のシワ取りを早急にさせていただき、帯〆帯揚げを合わせることとなったのです。

その納期が今日の夕方でした。

お電話を入れると取りに来られて、着終わったときのお手入れ法を尋ねられたので、汗をかきやすい時期でもあるので、汗取りをされることをお勧めしますが、いずれ変色している胴裏を替えたいとお考えでしたら、「洗い張り」をされた方が無駄なコストを省くことができるように思いますよ。

しかし着物のことを知らないお客様には、その意味が理解できない様子でした。

いい機会なので、このブログを借りて説明をさせていただきます。

この時期に着物を着るということは、冷房が効いていても汗をかくものです。

汗は長襦袢や着物に油が付着することでもあり、その度合いによっては匂いが付いたり、生地そのものを痛めたり変色を起こすことも考えられます。

特に白っぽい着物は要注意と言えるでしょう。

その理論からも、着物の洗濯を済ませて片づけ方が安心です。

そのお洗濯法を着物業界では「丸洗い」と呼んでいて、その仕事は洋服のクリーニングと同じだと解釈してください。

なので、着たときの汗や匂い、そしてシワも取れるものです。

しかし汗は目に見えないこともあり、問題意識を持たないまま、衿の汚落としだけで済まされるケースが多いのではないでしょうか?

特に汗ばむ時期の着装の場合は「丸洗い」の選択肢も考えるべきだと考えています。

もう一つの洗濯の仕上げ法として、「洗い張り」というものがあります。

これは着物をほどき丸巻きの状態に繋ぎ合わせてから、板に貼って洗うもので、丸洗いよりも綺麗に汚れ落としができるものですが、再びお仕立てを加えなくてはならず、コストの面からも着物の縫い直しなどに使われる洗濯法です。

この洗い張りは、縫い目の筋も落とせますし、繊維に付いた不純物も落とせるものだと考えています。

簡単な説明になりましたが、「丸洗い」と「洗い張り」の違いがお判りいただけたかと思います。

そこで、先ほどのお客様の着終わったときのお手入れ法のことですが、「丸洗い」を終えて、時を置いてから縫い直しをするとなると、今度は洗い張りが必要となります。

つまり、縫い直しをお考えでしたら、「取りあえず丸洗い」は無駄なコストになる訳で、「洗い張り」だけ済ませて、仕立て直しはもう少し先のことにする選択肢が賢明であることを説明させていただいた次第です。

詳しくお話をさせていただくとご理解をいただけたみたいで、着終わったら再び相談に寄せていただきたいと言って店を後にされました。

近頃、このようなケースの相談が多く持ちこまれることが多くなっていまして、傾向としてコストの面のことを気にかけられる方が増えております。

なので、手軽な方法をお伝えさせていただいているのですが、言ってみれば手抜き工事で綺麗になるものではありません。

しかし、それでいいという方が後を絶たないことを考えると、着物初心者の着物に対する価値感が下がっているのでしょう。

悲しことですがこれが現実です。

しかし今回のお客様は聞く耳を持っていただける方でした。

この先のご縁が深くなるものであればいいのですが、気持ち良くお手伝いができたて本当に良かったと思っております。

今日は映像を用意することができなませんでした。

その代わりという訳ではありませんが、娘が取った映像があったのでそれをアップしてみます。

DSC_0015mago.JPG今日二人の孫が来ていまして、にぎやかにしている様子の映像です。

上が「誠」で、下が「奏絵」。二人は8日違いのいとこで2か月を過ぎたばかりです。

それではこれにて・・・
お休みなさい。

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