市内の加賀友禅を作っているメーカーさんの方と着物業界の話をする機会がありました。
そこで話題になったのが、石川県内の呉服店さんの高齢化と後継者が育っていない現状を聞くこととなりましてね~
そしてその多くが、廃業する方向に向かっていて、この先10年で県内の呉服店が半分になるのではないかとの予測でした。
私も高齢化が進んでいることは感じていましたが、ここまで深刻な状態だとは思っていなかっただけに、複雑な気持ち耳を傾けていた次第です。
確かに着物の振興のために呉服店を核に組織された、「石川県和装振興会」も総会が開かれる度に、会を脱会される呉服店さんが後を絶たず、後継者が育っている先も数件しかありません。
それに、私みたいな者が若手と称されることも変な話で、若手経営者の入会が皆無と言える状況下でもあります。
おそらく石川県に限らず、着物業界が枯れ細っていく現状は着物産地も含め深刻さを増していて、10年後と限らず、いずれ、呉服店さんだけでなく、メーカーや問屋さんも激減して、着物愛好家と言える人にお応えできない時代が訪れるのかもしれません。
業界関係者はこのことに気づいていて、業界発展のためにいろいろ知恵を出し合っています。
私たち同業者で組織された”石川県和装振興会”でも、県内で17年間続けられている十三詣りの参加を広めたいと地道な努力を重ねていまして、今年も3月に玉姫ゆかり寺として有名な天徳院で3月25日(日)に十三詣りが行われます。
一月後に迫っていることもあり、今日はその話題を採り上げてみることとします。
ローカルな話題ですがしばらくお付き合いください。
この「十三詣り(じゅうさんまいり)」の話をお客様にお話をすると、13か所の寺を回るのかと言われる方もいらっしゃって、認知度の低さを感じづにはいられません。
そこで「十三詣り」が何であるかを先に説明させていただきます。
この行事は、数え年で13歳になった男女の成長の儀式として、旧暦の3月13日前後に、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)を安置しているお寺に親子でお詣りする行事です。
虚空蔵菩薩とは虚空を蔵(くら)としているかのように、計り知れない知恵と福徳をもたらす菩薩で、13番目に生まれた菩薩だったため、13歳になった子供を連れて13日にお詣りをするようになったそうです。
この十三詣りは、子供に知恵と福徳を授けてもらう目的で、江戸時代はさかんに行われたといいます。
13歳という年齢は、干支では二巡目に当たり、男の子にとっては元服前の「半元服の祝い」という意味もありました。
また、女の子は初潮の時期と重なるころなので、13歳を成女とみなし、初めて本縫いの着物を着せてお詣りをしました。さらには、女性にとって13歳は初めての厄年に当たるので、その厄落としの意味もあったようです。
この十三詣りは、京都では七五三以上にたいせつな行事になっていて、京都嵐山(法輪寺)にお詣りをするのが有名ですが、その文化を石川県にも根付かせたいと、石川県和装振興会が働きかけ、2000年に天徳院でうぶ声を上げたのが、石川県の十三詣りの始まるとなったものです。
私もそのスタート時のメンバーですが、今年も小学校を卒業された男女を対象に、中学生となる前の春休みに執り行っていまして、今年は3月25日(日)に天徳院で執り行います。
毎年男の子の参加は少ないものの、新しい中学校の制服でお越しになられる方もいれば、紋付羽織袴でお詣りされています。
一方、女の子は着物姿が多く、可愛い小紋を着てこられる方や、お振袖での参加をいただておりますが、詳しいことについては金沢の天徳院(☎076-231-4484)か、石川県和装振興会の会員となっている呉服店、または、私の店(☎076-272-2940)までお尋ねください。
私たちの仲間は、毎年天徳院で十三詣りのお手伝いをさせていただいていますが、タイムスリュプしたような着物の世界に包まれて、厳粛な雰囲気に感動があるものになっています。
対象となるお子さんがいらっしゃる先は、一生に一度しか巡り合うことがない十三詣りに参加されてみてください。
よい記念になりますよ・・・
これで私が皆さんに伝えたいことを書き終えることができました。
最後に…オンラインショップも運営中です。かんざし等覗いてみて下さい。
ではこれにて・・・
お休みなさい。