【店主の呟き】
或る年配の男性から、人形浄瑠璃のきものの補修や縫い直し、更には新しい着物を準備した場合、どれくらいの経費がかかるのか、相談に乗ってもらいないかと、男女一体ずつ人形を持って店を訪ねてくださいましてね~
人形浄瑠璃に使っている人形は14体近くあるそうで、50年近く前に作り替えた着物も長年使っていると痛みも激しくなり、50年前にお世話になった呉服店もなくなっていて、何処で相談したらいいか分からず相談にお越しになってくださったみたいです。
【人形浄瑠璃のきもの相談】
あの人形がこちらになります。
人形浄瑠璃の衣装はどれも模様や色が違っているそうで、保存会の経費でまかなえるものであれば、年に2体ずつでも修繕、もしくは新調することも考えているとのことでした。
会で話し合いを持つにしても、どれだけ経費がかかるか分からないので見積もって欲しいとのとこでした。
着物の縫い直しの仕事であれば、すぐに見積もりを出すことはできますが、着物のすり切れた箇所の修繕であったり、新しく新調した場合の金額となるとまったく見当がつきません。
それは西陣織の金襴を使ったミニチュアきものとなればそんなに生地がいらないでしょうし、だけど全部衣装が違うとなれば・・・
とても難しい相談を受けることとなりましたが、来週の日曜日に公演をされるそうで全ての人形を表に出すそうです。
その時に着物の状態を見て欲しいとのことだったので、お伺いするともりでいます。
ここのところ店に入ってくるきもの相談は、どれも難しいものばかりで、呉服店が少なくなっていることと関係しているのではないかと思っています。
なかなか実を結びませんが、この積み重ねが店の質を高めていくものだと考えています。
なので、私の店でよければ、いつでもきもの相談を承らせていただきます。
本日きもの相談をいただいたお客様との会話の中で、ご主人が私にこのような問いかけをいただきました。
初めて店には入ってみて、和装にこだわった店であることがよく分かります。
だけで今の時代、着物を着る人も少なく、呉服屋も激減している中で、どのようにして商売しているのかと考えると、この店の存在が不思議でならない。
ということを私に問うんですね~
初めて店にこられた方から、たまに似た質問をいただきますが、人通りの少ない郊外の国道沿いにポツンとある店に、見たこともない和物の商品があり、デパートよりもこだわった品揃えを見て、誰もが不思議に感じるみたいです。
ましてや店内に誰もお客様がいないとなれば、どのようにして商売をしているのだろうと思うみたいです。
他の呉服店にお邪魔することが無いので、他店との比較ができませんが、他店よりも店作りへの話題作りに力を注いでいて、それを頻繁に外部に情報を出しているところは、他店とは少し違うところかもしれません。
そのこともあって県外からの相談がよく入ってきます。
そんなことを質問をいただいたお客様にお返ししたりしていますが、実は私自身も不思議でなりません。
コロナ禍が続いた厳しい環境の中で身を守る店が少なくなく、アクションを起こす家業店が少なくなれば、きもの愛好家に店の情報が届くチャンスが広がるのではないだろうか。
そのチャンスを活かしたいと、チャレンジすることを止めようとしなかったことが、もしかしたら商いへの循環を良くしていたのかもしれません。
安定した経営とは言いにくいところがありますが、ブツブツ言いながらも、なんとかなっているから不思議です。
いろんな商売のやり方がありますが、シンプルなやり方ほど難しいものはなく、長続きする秘訣だと考えています。
ということで今日のお話はここまでとさせていただきます。
ではこれにて・・・
お休みなさい。