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かすかに記憶に残る妻のウエディングドレス。
遠い昔のことで、私自身が舞い上がっていて深く記憶に留めることがなかったように思いますが、妻と刻んだ時間は、いつしか違う形でウエディングドレスが届きました。
娘の挙式に幸せのベルを鳴らすウエディングドレスです。
その娘が挙式の衣裳合わせに、大きな鏡の前に座っています。
訪れたのは何かとお世話になっているブライダルハウスの「みつ和」さんです。
娘の晴れ舞台をサポートする意味で婿さんの間に入り込んで、私も同行させてもらいました。
初めてドレスだけのフロアーに足を踏み入れてみて、「これが女性の憧れの世界か~」、なんて他人事のように思っていましたが、提案してくださったドレスを見に着けた娘を見た時は、ディズニーの世界を覗き見たようで見惚れましたね~
お値段を知り驚きを隠しきれませんでしたが、私になり代わりお母さんがここにいたなら、その驚きなんてチッポケなもので、もっと輝いて欲しいと思っていたに違いありません。
そのことに気づかされた私は、いつしかお母さんの目になっていました。
事あるごとに娘は私に判断を求めます。
「どっちが似合う・・・」、
「最初より、今の方が可愛いと思うけどな~」
パズルを組み合わせるかのように、一つずつ幸せ形が整い、娘の喜びの声が心の奥に響き渡ります。
「これでいい・・・」、その事を呟きながら、衣裳合わせが進んで行きました。
そして最後に色うち掛けのフロアーへと場所を変えると、ここからは私の出番です。
勢いは留まることを忘れ、お決まりの呟きは、「なんとかなるでしょう・・・」で、挙式の衣裳が決まりました。
お母さんも納得してくれていると思います。
嬉しいことに、私の気持ちをくみ取ってくれたのか、担当者がいろいろ便宜を払ってくれましてね~
彼を信頼して良かったと、暖かな心を持つ担当者に感謝しております。
お世話になったスタッフの方々にお礼申し上げます。
ありがとうございました。
こうして3時間余り、娘たちのワンマンショーのお手伝いをさせてもらいました。
衣裳台は二人で支払うつもりでいたみたいでしたが、ここは私からの誕生日プレゼントです。
幸せのハシゴを手にしたのだから、頂上へ登りきるまで支えてやりたいと思っていましてね~
と、言いながらも、何ができるのか判らない状態でいますがね。
衣裳を決めた後で、娘とみつ和さんの近くにある近江町市場で海鮮丼を食べましたが、いつになく美味しく感じました。
こんな日常も後わずかかもしれません。
遅い食事を終え、娘と別れた直後に息子から電話がありました。
「入籍を済ませたと・・・」
それぞれに、歩き始めた道は同じでないかもしれないが、子ども達には、お母さんの分まで幸せになって欲しいと思っています。
辛いことがあっても、噛み合わない生活が訪れようとも、愛した人を信じて、二人で険しい道のりを乗り越えながら幸せの砦を築いていってください。
お父さんもお母さんも信じています。
貴女たちの力を・・・
そんな訳で、お母さんのウエディングドレスを選んだ時よりも、はるかに印象に残る一日でした。
酔いしれていて充分な仕事ができませんでしたが、明日から心をリセットして開店20周年祭へと突き進みたいと思っています。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。