厳しい残暑が続いていますが、この時期になると夏物商戦は野球の試合で例えるなら9回裏を迎えている頃ではないでしょうか。
いつまでも去りゆく夏を追いかける訳にはまいりません。
売り場から順番に夏物を片づけ秋商戦の準備をしているのですが、今一つ気合が乗らなくて・・・・・
今日は今年の浴衣商戦を振り返ってっみようと思います。
私が知る限りでは、全国的に浴衣の動きが悪かったみたいで、昨年の2割~3割減というところが少なくなかったみたいです。
その背景の大きな要因は景気の衰退が浴衣の消費を抑えていたことが考えられます。
しかし、それで済ませることができるのでしょうか・・・・・
今年の冬、新作浴衣が発表された時点で、この夏の経済状況は読めたはずです。
そのことを予測してなのか、石川県の地域でも、浴衣に対する取り組みを見送った専門店もありますし、深入りしない店も増えているということも仕入れ先から聞いていました。
私はその時にチャンスだと思いましたね~
地域の呉服店が今年の浴衣商戦を消極的に捉えているのなら、私は積極的に取り組み現在の景気と勝負してみようと考えた訳です。
注文した浴衣の点数も昨年より増え、下駄などの浴衣関連商品も多く仕入れました。
仕入れの段階で特に気を配ったのが、量販店と差別化が図れる商品です。
綿絽や綿麻などの特徴ある素材と,質の高い染色技法の反物に軸足を置いて品揃えをし、浴衣商戦に望みました。
5・6月は昨年と比較すると若干動きは鈍く心配していましたが、7月の巻き返しでどうにか昨年並みの点数まで持ってくることができたみたいです。
今年も圧倒的にオーダーメイド仕立ての反物に人気が集まっていましたね~
プレタ(仕立て上がり)と比較すると、全体の80%強が反物だったかもしれません。
年代層は20代後半から50代という幅広い年代で、20歳前後の女性は今年の流行り物のプレタ浴衣を量販店などで調達していたのではないかと考えています。
浴衣シーズンを迎えるごとに、この構図ははっきりしてきていることを感じ取っています。
表現の仕方が適切ではないかもしれませんが、流行を追いかける人やリーズナブルな価格を重要視する人と、自分に合った寸法や着心地、そしてコーディネートにこだわりを持つ層と、大きく二つに別れるみたいです。
ここ最近、家業店は量販店の取り組みを真似て店作りをして、勝負に負け浴衣が売れないと言って浴衣戦略を考えようとしない経営者が増えているようですが、実にもったいない話だと私は思っています。
浴衣はシルクの着物を比べれば、金額の小さな商品になりますが、その市場には語りつくさない魅力と、これからの新しい店作りのヒントが沢山秘められています。
出会ったことのない若い女性の心を捉えるにはどうしたらいいか・・・・・
きもの初心者が浴衣を通して、着物好きになってもらえるにはどうしたらいいのか・・・・・
他店との違いを浴衣柄やサービスで理解していただくにはどうしたらいいのか・・・・・
その他にもいろいろありますが、それらのことに問題意識を持って取り組むことで、後におおきな経営財産として新しい発想が身に付くと考えています。
私はここに きもの屋さんとしての生き方のヒントを学び取ることが出来ると思っています。
今後の浴衣市場を考えた時に、これまでのような浴衣ブームのおこぼれを頂戴することができなくなりました。
そこには確かな戦略と、行動力、そして信頼がないとお客様は支持してくださいません。
そして、その想いを年に一度、浴衣という商材でシュミレーションをしてお客様の心を知ることが大切だと考えています。
随分生意気なことを書いたかもしれませんが、浴衣市場には和服業界を更には経営者を輝かせる卵がいることを書き加えて今日の記事にさせていただきます。
ところで、今年も浴衣商戦を振り返って、いろいろと勉強させていただきました。
来年も新たな気持ちでチャレンジするともりでいますので応援して下さいね・・・・・。