春の晴れの日に着る着物を訪問着でコーディネート・そして訪問着と附下の違いを解説してみました

 今日はお昼頃から長男、長女と孫、次女と孫がリレーするかのように店に来ていて、常連さんのお客様も遊びにお越しになられていたことから閉店間際まで賑やかな店内でした。

笑が溢れ春が来たことを思わせる一日でしたが、後数日で暦は3月。

私たちの社会は年度末で、卒業式や入学式を控えている方は、その準備に気ぜわししくしていらっしゃるのではないでしょうか?

特に着物を着られる方は、タンスの中に着物の状態を確認されておかれたほうが安心かと思います。

着物や帯にカビが出ていたり、たたみジワなどがあることも考えられるので点検を済ませておいてください。

トータルコーディネートも含め気になるところがあれば、早めに対応されておかれると気持ちよく着物が着れることでしょう。

お若いお母さんには判断の難しいところもありますが、どうか専門家の力を借りて準備を整えられることをお勧め致します。

さて今日の話題は、晴れの着物として最も用途の広い訪問着を紹介させていただこうかと思います。

DSC_0004houmonngi2016.JPGここにアップさせていただいたのが訪問着というもので、小さなお子さんがいる方だと、入卒や七五三の祝い事から、友人や知人結婚式の披露宴、習い事をしていたったしゃる方ですと、新年会やパーティーの席にお召しになれる着物になります。

用途的によく似た種類の着物として附下(つけさげ)がありますが、着物の格としては訪問着が上と考えていただいてよろしいかと思います。

この見分け方が難しいところがありまして、一般的には訪問着は一枚の絵のように模様が多く描かれていて、裏地の八掛(はっかけ)の部分にも模様が入っている着物をいいます。

一方で附下は、模様に入り方が少なく、表地にあった色合いの八掛を用意してお仕立てするこので、その八掛には模様が入っていないが附下というものです。

もう少し判りやすく言うと、購入される際に仮仕立てしてあるものを訪問着と呼び、丸巻きの反物状態のものを附下と考えていただいてよろしいかと思います。

すべてがその枠に入るものではありませんが、訪問着の場合は仮縫いで反物は附下と解釈してください。

前置きが長くなってしまいました。

先ほどの画像は、入卒が近いことから若向きの訪問着柄をアップさせていただいたのですが、この着物に合わせる帯としては二重太鼓に結べる格のある袋帯になります。

普通ですと金銀糸をベースとしたものや白地などが、華やかさを引き出し清楚な装いへと導かれるものですが、黒地というものも悪くないものです。

DSC_0001houkonngiwoko-dhine-to2016.JPGそこで、先ほどの訪問着に黒地の袋帯を合わせてみました。

優しい色合いの着物がキリッと締まった、おしゃれ感が加わったかと思います。

DSC_0002koizinofukuroobi.JPG黒地といっても雪輪柄に金糸が多く使われているから高貴さがあり、金銀の糸や箔が入っていないとバランスが取れるものではありません。

合わせた袋帯は能装束(のうしょうぞく)の唐織(からおり)という織り方をした帯で、格調のある帯といえるでしょう・・・

黒地の格調ある袋帯って、意外と種類は少なくてコーディネートすることが難しいところがありますが、着物との相性がピッタリくると着物通をうならすものがあります。

そのようなことを伝えたくて、あえて黒地の帯でコーディネートしてみました。

軽やかな清楚感と距離を置くものがありますが、味があって、これもまた素敵な組み合わせかと思っております。

着物コーディネートって人が持ち合わせる感性だけに、数学のような方程式で答えを見つけ出せるものではありません。

好き嫌いの好みも入りますし、見立てる方の感性で組み合わせるものが変わるのが着物の世界かと思います。

ブランド品のお洋服だとトータルで組み合わせることは意外と簡単なものがありますが、着物となると、その領域を遥かに超えたものがあり、見立ての技がお店の味と言えるのではないでしょうか?

なかなかご理解いただけるものではありませんが、合う合わないの感性を大切にされされて春の装いのご準備を進めてみてください。

それではこれにて・・・

お休みなさい。