「江戸小紋展」の開催まで残すところ2日というのに、店内は溢れる商品と備品で足の踏み場がない状態で、段取りと整理に手間取った一日だったかもしれません。
それでも、スタッフや娘たちが帰った後に一つ一つ片づけることができて、どうにか済ませておきたいことをやり終えることができましたが、閉店間際に来店客が2件ありまして投稿準備が遅くなってしまいました。
残されたエネルギーを振り絞って、今日の投稿へと移りたいと思います。
江戸小紋展の開催にあたり、少しでも江戸小紋について理解を深めていただければと思い、店が発行している情報紙「あ・うん」に3回シリーズで『江戸小紋よもやま話』を特集しました。
一部のお客様にしかその情報が届いていないために、其の❸を今日の記事にしたいと思います。
私の作文のために解りにくいところがあるかと思いますが、どうかしばらくお付き合いください。
江戸小紋の模様を映し出す型紙は、着物が染め上がるまでの心臓部といっても言い過ぎではありません。そこで型紙を彫る彫り師の技について紐解いてみるこことします。
≪錐彫り(きりぼり)≫
型彫のなかでももっとも古い技法といわれています。江戸小紋の三役と言われる「鮫(さめ)」・「行儀(ぎょうぎ)」・「通し(とおし)」は錐彫りでなされます。
細かい柄になると3㎝四方のスペースに千個近い穴を開けることが要求され、穴の場所が少しでもズレたり、穴の大きさが不揃えだと商品としての価値を失います。
彫るのに数か月かかるそうです。
≪道具彫り≫
菊や桜、麻の葉や菱などの物や形になっているものを組み合わせて、デザイン化した模様を彫り出す技法です。
彫刻刀のような長細い道具を刃と上の部分を手で握り、右ほほにあてがい、上半身全体で一気に押して彫るものです。
≪突き彫り≫
一般に型地紙(型となる紙)を7~8枚重ねて彫ります。鋭利な刃を紙に突き刺すうようにして彫り進めていく技法です。
彫り口が微妙に揺れるために、独特の柔らかな雰囲気があります。
≪引き彫り(縞)≫
型紙の故郷は伊勢参宮街道の宿場町と賑わった三重県鈴鹿市白子町ですが、当時、白子には二千人くらいの彫り師がいて、縞彫りは二人だけだったそうです。
それくらい縞彫りは難しいものとされていました。
定規を当てて均等に筋を引くのですが、型紙を一度に7~8枚重ねて引くので少しでもズレると失敗で、それも一本の線に3回刃を当てます。
細かいものでは3㎝中に31本の縞があります。31本ということは縞の模様を作るために62本の線を引いていることになります。
そして、染師はそれらの型紙を使って着物を染めるのです。
とてもマニアックな文で何を話しているのか理解不能だったかもしれませんが、伝統的な技を持って染められる江戸小紋は模様となる型紙を彫る人と、染師の共同作業で一枚の着物になるものです。
今回の江戸小紋展では、ここで説明を加えた手仕事の江戸小紋を紹介させていただきます。
明日には準備が整うので、是非ともこの機会に覗いてみてください。
期間は22日(金)~25日(月)までの4日間ですのでお間違えのないように・・・
記事の最後に、準備が整った売場から目の保養になれなと思って加賀友禅の訪問着をアップしてみました。
白茶色の優しい訪問着でしょう。
「緑風」という作品名が付けられています。
会場には江戸小紋だけでなく、他にも新しい商品を出展しているので、一言付け加えて今日に記事を終わることと致します。
そして今日は亡き妻の誕生日でした。
元気でいたなら57歳で、いつも「卯月展」と重なる時とあって、何もしてあげられなかったことを思い出します。
本当に身勝手な私でした。
今日も何もしてあげることができなかったことを心の中で詫びている私ですが、家族みんなが元気で過ごしていることを喜んでいてくれていることでしょう。
妻が届かない世界へ行った時に自分に誓いを立てました。
「妻の分まで生きると・・・!」
身勝手な私を応援してくれているか不安ではありますが、「誕生日おめでとう!!」とだけ伝えておきたいと思います。
それではこれにて・・・
お休みなさい。