この店の近くに三っつの大型ショッピングセンターがあります。
その中には全国チェーンの呉服店が入っていて、量販店にも浴衣が並んでいることから、どのような上品を揃えているからを見てまいりました。
2つのショッピングセンターを覗いみたのですが、量販店は初心者向けに対応した既製品浴衣と形を作った浴衣帯と下駄の3点セットが主で、リーズナブル感のあるお値段の品揃え。
一方呉服店は、売場から人通りを見ている従業員さんが目を光らせていたので、ゆっくり見ることができませんでしたが、こちらも既製品浴衣を主力にしていたかと思います。
目に触れて思ったことは、私の店とは品揃えがまったく違うもので、おしゃれに対する考え方も異なるものでした。
そしてリーズナブル感があって、着物初心者には買いやすい環境が整っているように思えましたが、売り場にはお客様がいなかったことを思うと、浴衣が需要期が来ていないのでしょうか?
実は他店の品揃えについてはおおよそ見当が付いていて、当店との差別化が図れていましたが、私が一番知りたかったのはお客様の入りです。
お手軽な浴衣を揃えていても、お客様が入っていないということは、ユーザーはそんなに急いでいないのではないでしょうか?
ましてや既製品となればなおのことです。
私の店はリーズナブルな浴衣であってもオーダーメイド仕立てを基本にしていて、既製品浴衣との比率は9対1の割合で反物から誂(あつら)えることに軸足を置いて提案をさせていただいています。
これは、お客様の体格に合わせて仕立てたほうが着やすくて、見た目にもスッキリ見えるからです。
また、素材や染にもこだわりがあり、きもの専門店としての役割を果たしたいと考えて取り組んでいますが、今年はちっと様子が違います。
お客様の関心度が薄くて、お客様のニーズが変わって来ているのかと考えると心配でなりません。
その背景には何があるのでしょう。
経済の低迷なのか、それとも当店の狙い処を間違えたのか、PRが足りていないことも考えられますが、浴衣市場に陰りが見え始めていることだけは確かなようです。
数年前から浴衣市場が熟してしまっていることに気づいてはいますが、リサイクルショップやレンタル市場が伸びているだけに、なんとしても踏ん張って、これまでと違った視点でユーザーに問いかける取り組みが望まれます。
何であれ、手にしてみたいと思っていただける魅力を伝えることって、一筋縄ではありませんね。
ところで2016年は数日で半分が過ぎようとしていますが、今年は世界的に特別な年になる気がしてなりません。
地球上の異常気象に熊本震災。テロや核問題に加え、新たにイギリスがEUからの離脱が決定して、世界経済の潮目が変わるのではないでしょうか?
他にも日本とアジア諸国の関係もギクシャクしていて、この先何が起きるか判らない状態に危機感を感じています。
学びから成長して来た人間社会なのに、何が足りないのでしょうか?
考えさせられます。
ショッピングセンターの浴衣売場を探している途中に目に入った水鉄砲。
孫と遊ぶのに面白いおもちゃになりそうだったので買ってみました。
心を痛めることが多い中で、たった数百円のことで心を満たしてくれているとは皮肉なものです。
彼女たちが大人になった時、着物業界に止まらず世界はどうなっていることでしょう。
それではこれにて・・・
お休みなさい。