今日の出張目的の柱は、来春の木目込み人形で作られたお雛様をセレクトすることで、午前9時前に会場となる京都の仕入れ先を覗いてみました。
すでに数件の小売店さんが来ていらっしゃって、会場が開く直前になると、係りの誘導で先に来たお店順に並ぶという暗黙のルール。
見慣れた光景です。
あいにく私は最後尾で、例年に比べて全国からお越しになられている小売店さんが少ないことに気づかされました。
九州からお客様が少ないとのことでしたが、毎年小売店さんが開店前の並ぶのは、木目込み人形のお雛様が古い着物生地を使っていて、着せ付けをしている人形がどれも一点物だからです。
なので会場まで足を運ばれた小売店さんは、お雛さんの形と着せ付けされた古布の模様や色合いのバランスを見比べて選びたいという心理が働くもので、朝早くから並ぶんですね~
なので会場が開くと、なだれ込むようにして人が入ります。
そしてそれぞれのお店の売約品の札が人形の前に置かれていく訳ですが、ボヤボヤしていると横から売約品の札が置かれることもあり、会場が開いてしばらくの間は争奪戦って感じです。
何年もその現場を見ているもので、取りあえず直感で売約品の札を置いてから、改めて見直すというズルさを覚えましてね~
こうしていくつかの現品で見分けたお雛さんを私の店の売約品にしてまいりました。
できれば2019年の初売りに「木目込み雛人形展」を開催することができればと考えておりますが、これまでと変わらず木目込み雛人形に力を注いてみたいと思っているところです。
他にも花嫁さんの人形も選んでまいりました。
次にどのような販促を組かを考えなくてはなりませんが、取りあえず商品が手配できたことで、その開場を後にし、いつもどおり仕入れ先を訪ね歩いた一日でした。
着物関係の仕入れ先の8月は夏休みと言える状態で、担当者といろんな話をすることができました。
全国的に浴衣が不振であったことや、呉服店さんが勢いを失っていることなど、先行きの不透明感が漂っていましてね~
新しいカードを持っている訳でもなく、舵取りが難しい時代になったことを教えられています。
こだわりの商品を作っているベテラン担当者が私にこんな話をしてくれました。
昔は各県に呉服店さんが沢山あって、それどれの店が個展を開いてお客様に商品を見てもらうことができた。
お母さんと共に娘さんも足を運んでくれて、品質の良いものやお手頃感のある品まで見てもらって、本物が何であるかをおぼろげにも目に焼き付けていただけたものだが、近年はそのような機会も少なり、本物と安物の見分けができなくなってしまっている。
これを骨董品の世界で例えるなら、普段から骨董品に触れて勉強している人は、目が養えて、本物と偽物が見分けができるまでになるのではないだろうか?
着物を知らない人が増えて、こだわりの商品を理解していただくまでには、とても時間がかかる業界になってしまった。
それはごまかしが効く時代になったとも言えるだろう。
誠実に職人さんの技を駆使したこだわりの品を染めても、それを高いと言ことができても商品の価値を認知していただけない時代になったことをに寂しさを覚える。
そんな話をしてくれましたが、その担当者は高齢となり業界を離れるそうです。
いろんなことを教えてくれて無理も聞いてくれた担当者だっただけに、業界を去ることの淋しさが私にはありましたが、作り手と買い手の歯車が合わなくなったことは確かかもしれません。
時代に呑み込まれてしまうのか、それともお客様と共に着物の価値を生み出す努力を積み重ねていくのか、経営哲学がないと遭難する時代になったといえます。
それではこれにて・・・
お休みなさい。