先週から京都の仕入れ先が店に寄ってくれていますが、明るい話題が乏しくて寂しくなります。
そればかりか高齢で今年いっぱいで業界を離れる方が2件も現れて、高齢化している業界の縮図を見せつかられた思いでいます。
私より年上の方で、苦楽を共にした仲間が次々といなくなるかと思うと切なくてなりません。
高齢となれば仕方ありませんが、お二人とも時代が変わってしまったことを呟いていたことが印象的でした。
いつの日か私にも仕事の引き際が訪れるだけに少し考えさせられるものがありました。
小さくてもいいから夢を手にすることができたと言える幕引きができればいのですが・・・
貴乃花親方の引退騒動とも重なり、続けることの難しさを改めて感じさせられています。
さて、このコーディネートは白大島紬を秋の紅葉をイメージして組み合わせたものです。
小ざっぱりして小粋な着こなし方かと思っていますが、白大島紬は色合いが爽やかで単衣物としてもお召しいただけるものです。
泥大島紬の茶褐色の色とは真逆で場の立つ着物になって見えますが、白もおしゃれ着の一つなんですね~
ご存知かと思いますが、泥大島紬はバラ科植物であるテーチ木(車輪梅)の樹皮を煮出した液に浸して染め、さらに奄美大島の泥田で泥染めをする工程を20回近く繰り返すことで化学変化が起きて、茶褐色の奥深い色の織り糸になります。
一方白大島は、白薩摩焼と同じ白土を原料として開発された染料から「白泥染め」という技法が生まれ、お顔映りの明るい白大島紬が作り出されたと聞いております。
他にも藍染を終えてから泥染めされた藍泥大島紬や、化学染料を使った色大島紬など、色合いの出し方には長い歴史の中で培われた技かと思っていますが、もう一つ大島紬の特徴として言えることは、模様の柄を表現する十字絣にあります。
この絣を業界用語で「マルキ」と呼んでいます。
その十字絣の細かさを、5マルキ、7マルキ、9マルキの順に絣が細かくなり、私たちはそれ絣の大きさを見て7マルキの大島とか、手のこんだ9マルキの大島紬だと呼んでおります。
つまり5マルキは十字絣が荒く、9マルキは十字絣が細やかな織り方をしていて、その上の細かい絣を「割り込み」と呼び、大島紬の中で最も熟練の技を要するものです。
言葉を変えるならば絣の細やかなものほど仕事が複雑でお値段も高くなりますが、その仕上げりは泥染めの艶と柔らかさも引き出された、他の紬では味わえないに魅力を秘めた紬と言えるでしょう。
これが大島紬の軸となる紬の作り方です。
その作り方を基本として、近年はリーズナブルな品も作られるようになりましたが、もっと皆さんに大島紬のことを伝えることができればと、店内で大島紬展を開かせていただくことになりました。
今はその事で、どうしたらお客様に興味を持っていただけるかを、ない頭を使っているところです。
大島紬展は10月19日(金)~22日(月)までの4日間。
目の前で様々な大島紬をご覧になれる機会でもあり、是非とも足をお運びいただけたらと思っています。
十分な説明ができていませんが、少しでも大島紬の知恵袋になるものであればと思って記事にしてみました。
それでは今日はこれにて・・・
お休みなさい。