雛祭りの習わしとコンパクトな雛人形・そして外国で着物の商いをしているかのような日常

古布の木目込み雛人形「東宮五人飾り屏風付」

今日は3月3日の雛祭りで日曜日。

 

雛祭りは上巳(じょうし)の節句ともいい、上巳とは3月最初の巳(み)の日のことで、中国では忌日(いみひ)とされ、邪気に見舞われやすいとされた日です。

平安時代には、貴族が自分の災厄を代わりに引き受けさせた紙人形を川に流す「流し雛」が行われました。

やがて豪華なお雛様を飾ってお祝いするようになり、女の子の健やかな成長を願う行事として今に至っています。

 

 

 

古布の木目込み雛人形「東宮五人飾り屏風付」
古布の木目込み雛人形「東宮五人飾り屏風付」

 

小さな女の子がいる先は、雛人形を飾りささやかなお祝いをされたのではないでしょうか?

 

 

そんな需要を見込んで木目込み雛人形を採り上げていますが、昔のような七段飾りからコンパクトサイズへと変わり始めていて、場所の取らないお雛様飾りが主流になっています。

 

雛人形に限らず、昔と変わらなというものは極めて少なくて、変わっていくものだと思っております。

 

ここからが本題ですが、昔は着物のことが分かっていても着物を着なくなった世代が溢れていて、着物が分からない人がとても多くなっています。

 

今日も新規のお客様が黒留袖と帯を2本持って来て、留袖に帯なのかを見て欲しいと相談をいただいたお客様がいました。

 

妹の結婚式に留袖を着てもいいかの相談もあり、女性の第一礼装となるものなので、安心して着ていただけるものだと話をさせていただきましたが、お持ちになられた帯が問題です。

 

一つは塩瀬の染め名古屋帯で、留袖に締める帯ではありません。

染帯は小紋や紬などの街着に合わせることの多い帯で、お持ちいただいた帯はまさにそんな性格の帯でした。

 

もう一人は白地のお太鼓柄で幾何学模様のおしゃれっぽい袋帯で、黒留袖に合わせることができても、シックリ来るとは言いにくい帯です。

 

そればかりか、草履とバッグ、帯〆帯揚げは、お若い年齢のときに愛用していたピンク系の物しかないというのです。

 

相談を受けた側としてとても言いにくいことでしたが、今の現状では黒留袖が着れないことをお話させていただきました。

 

黒留袖を着ようとしていらっしゃる方は40代前半のとても綺麗な奥様です。

自分用に作ってあった黒留袖がタンスにしまい込まれていることを知り、実のお母様とご一緒にご相談にお越しになられたのですが、この時点で立ち往生。

 

この件は午後に改めてご主人様と来店があり、足りないものは新しくご準備されて着物が着れるまでになりました。

 

他にも着物が詳しくない方の話題で、入学式に着付けを依頼せていまして、事前に着物を着るのに必要なものをお持ちくださるように話をしていたのですが、その方が着物や和装小物を持って来店されました。

 

お客様の目の前で確認させていただくと、着物は色無地で少しシワが目に付くものの帯や長襦袢は問題はなさそうです。

和装小物を確認して見ると肌着がありません。

そのことをお客様にお話すると、上の子に入学式にはいつも使っている肌着のままで着付けをしてもらったと話されるのです。

 

「そんなの在り?」と言いたかったのですが、新規のお客様だけに必要性を話すと、「浴衣の下に着や肌着でもいいの?」と言うから、それを持って来ていただくように伝えた次第です。

 

 

このような感じで、呉服店と関係を持たない新規のお客様は、着物がまったく分からないとと言っても過言ではありません。

有難いことにこの店には新規のお客様が多く来ていただけるようになりましたが、着物相談となるととても気を遣います。

 

価値が判らない人に、価値ある着こなし方を説明すると、その金額の高さに驚かれることが多くあって、離れていくことが少なくないからです。

なのでお客様の顔色を見ながら話をしないとなりません。

 

 

外国で着物の商いをしているかのようで、ここが昔と大きく変わった接客法かと思っています。

 

着物を知らないことを逆手の取ってトリック商法が通用する時代とも言えますが、この先も着物が分からない人が増えていくことでしょう。

 

その現実を受け止めて、少しでも着物初心者に優しい店が作れたらと思っています。

 

なぜか今日は新規客の多い一日でした。

春が来たからでしょうが、私の店を選んでくださったことに感謝しないといけませんね。

 

ではこれにて・・・
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